■「ビール」は安くなり、「発泡酒」「第3のビール」は値上がりに
その際、全体として国の税収が増えると名実ともにただの増税となってしまい、一層の国民の反発があるため、税率改正前後で国の税収自体がほぼ変わらない税収中立という考え方に立ち、現在は税率が安い「発泡酒」「第3のビール」については増税、「ビール」は減税となるように、3種類の税率を統一することになりました。
そうすると、結果として、「ビール」は安くなり、「発泡酒」「第3のビール」は値上がり、という事態が予想されます。
■本当に「庶民いじめ」になるの?
「庶民いじめ」との声も出ているようですが、今まで高かったビールは安くなり、改正前後で国側の税収自体は変わらないので、単純な増税とも言い切れないところはあります。
ただし、メーカーによっては、発泡酒、第3のビールで安い価格を実現しつつビールに近い味を出すために費やしてきた今までの研究開発が無駄になるため、反対論もあるようです。
また、少なくとも今まで安い選択肢としてあった発泡酒、第3のビールは増税になるため、ビールでなくても安い方がよいという消費者にとっては、選択肢が限られるという影響はあります。
最近の配偶者控除見直しの議論もそうですが、税法はもともと利害関係が鋭く対立する分野である上、時代の変化にも対応させなければならないため、今後も、必要に応じて、制度改正はあるかもしれません。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)
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