フリマアプリ・メルカリが「ゲームアカウントの売買」を解禁…法的に問題ないの?

■リアルマネートレード自体を規律する法律はない!しかし…

実は、日本では、リアルマネートレード(RMT)自体を規定する法律がありません。そのため、実際にリアルマネートレード(RMT)が行われた場合に、ゲーム事業者がどのような対応をするのかは、悩ましい問題です。

ここでは、下記2点の観点から問題を見ていきましょう。

・「メルカリとゲーム会社」との関係
・「メルカリと利用者」との関係

 

「メルカリとゲーム会社」との関係では

ゲーム会社は、ゲームアカウントの売買を利用規約で禁止をしているのが通常です。しかし、利用規約は、ゲーム会社と利用者との間の契約です。

ゲーム会社とメルカリとの間を規定するものではないので、ゲーム会社の利用規約がメルカリを拘束力することはできません。よって、ゲーム会社としては、利用規約違反として、メルカリ側に法的請求をすることはできないのです。

ただ、このようなアカウント売買で、ゲーム自体の適切な運営が妨げられ、事業者の業務が妨害されたといった事情がある場合には、民法上の不法行為が成立する可能性があります。

 

「メルカリとメルカリ利用者」との関係では

メルカリでゲームアカウントを購入した利用者が、当該ゲームにおいて、ゲーム事業者から利用停止などの制裁措置を受けた場合に、メルカリ側に損害賠償を請求することはできるのでしょうか?

この点、メルカリでゲームアカウントを購入した利用者は、自らの判断で、当該ゲーム会社の利用規約に違反する行為をしています。

そうすると、ゲーム会社からアカウントの停止、利用停止をされても、想定の範囲内といえます。このような場合に、利用者がメルカリに損害賠償を請求することは難しいでしょう。

ただし、上記のように、リアルマネートレード(RMT)は、ゲーム会社の利用規約に違反するので、利用者が売買したアカウント等が、ゲーム会社において、無効化・解約される可能性が高いです。そうすると、メルカリとメルカリ利用者との間で、トラブルに発展することも考えられます。

リアルマネートレード(RMT)問題は、まだまだ議論の余地がありそうです。

 

 

*著者:弁護士 中野 秀俊(グローウィル国際法律事務所。弁護士になる前、システム開発・インターネット輸入事業を起業・経営。IT・経営・法律に熟知していることから、IT・インターネット企業の法律問題に特化した弁護士として活動している。ブログ「IT・インターネット法律ブログ」)

【参考記事】

「メルカリ」のゲームアカウント売買解禁が10代に与える影響

【画像】イメージです

*ふじよ / PIXTA(ピクスタ)

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