パナ社員90人超が「2,000回以上の接待」で懲戒処分に…就業規則との法的関係とは?

■きちんとした懲戒処分と認められるための条件は3つ

きちんとした懲戒処分だと認められるためには、以下の3つの条件が重要になります。

1 .就業規則などに根拠があること

2 .企業に懲戒処分をする権利があるとしても、やり過ぎでないこと

3 .あらかじめ就業規則に懲戒処分の種類と懲戒処分が出される場合のことを書いておき、ちゃんと本人に懲戒処分を出す理由を告げた上で、従業員の言い分を聞くこと

特に3.は、企業が好き勝手に懲戒処分という重い処分を課すのを防ぎ、企業が懲戒処分を出す理由に対して従業員がきちんと反論するために必要とされる条件です(法律用語で、「適正手続」といいます)。

時事通信の報道によると、「パナソニックは社内規則で調達部門の社員が取引先から接待を受けることを原則として禁じて」いたようですから、1の条件はみたします。

懲戒処分をする権利があるとしてもやり過ぎではない、というのは、 行為の悪さと課される懲戒処分のバランスが取れていることをいいます。バランスが取れていない事例としては、たとえば次のようなケースが挙げられます。

・ある行為に対して、10年近く経ってから懲戒処分を下した

・式典で起立しなかったことに対して減給にした

取引先から接待を受けると、取引先に対して不適切な便宜供与をはかるおそれがあるので、今回の懲戒処分はやり過ぎではないと思われます。パナソニックの事例で3.の適正手続がきちんと踏まれたかどうかはわかりませんが、おそらくきちんと適正手続は踏まれているのでしょう。

 

■弁護士からのアドバイス

ご自分が行った行為に対して、不相当な懲戒処分が課されて悩んでいる方は多いと思います。泣き寝入りをせず、一度懲戒処分に精通している弁護士・鈴木謙太郎までお気軽にご相談ください。

 

*著者:弁護士 鈴木謙太郎(1972年の設立以来40年以上の歴史がある、虎ノ門法律経済事務所の池袋支店で支店長を務める。注力分野は遺産相続、不動産取引、交通事故、債権回収、労働問題、債務整理、刑事事件、離婚等。「皆様の人生の一大事を共に解決するパートナーとして、真摯に業務に取り組んでまいります。」)

【画像】イメージです

*izolabo / PIXTA(ピクスタ)

【関連記事】

マー君の自宅問題でフジテレビが謝罪…そもそも本人無許可の住居報道は法的にOK?

87歳が運転する軽トラが児童を死傷…増加する認知症高齢者の事故が抱える法的問題とは

【博多駅前陥没】パーキングから車が出せない…駐車料金の支払いは法的にどうなる?

博多の道路陥没で銀行システムにトラブルが…入金が遅れたら責任はどこへ?

女性の足を30分もなめ続けた男が逮捕…「強制わいせつ罪」と「暴行罪」は何が違う?

鈴木 謙太郎 すずきけんたろう

虎ノ門法律経済事務所 池袋支店

東京都豊島区南池袋2-12-5 第6.7中野ビル7FB号室

コメント

コメント