最近、懲戒処分に関するニュースをよく耳にします。11月1日付でパナソニックが海外で2,000回以上接待を受けた90人余りの社員に対して懲戒処分をしたという話からはじまり、つい先日の11月15日には名古屋市が下着を万引きした消防士に対して懲戒処分をしたというニュースがありました。
今回は、パナソニックの事例をもとに従業員が守らないといけないルール(就業規則)と懲戒処分の関係について考えてみましょう。
■パナソニックの懲戒処分の事例詳細
時事通信によると、次のように報道されています。
「パナソニックは社内規則で調達部門の社員が取引先から接待を受けることを原則として禁じており、5人前後が降格、約30人が出勤停止、約50人がけん責となった。」
■なぜ従業員が守るべきルール(就業規則)中に懲戒処分の内容を記載?
企業が就業規則を従業員に作らなかったり、就業規則の内容を知らせなかったりしたときは、どうなるでしょうか?
従業員が何らかの行為をした後に、「その行為はうちの企業から見て悪い行為ですよ」といわば「後出しジャンケン」で好き勝手に懲戒処分ができてしまいます。そうすると、従業員は安心して仕事ができず、非常に困ります。
そうならないために、経営者に就業規則の内容をちゃんと文章化して従業員に知らせた上で、企業が作成した就業規則が適法なものかどうか役人がチェックする必要があります。
そこで、一定の行為(たとえば、取引先から接待を受ける行為)に対して企業がマイナス評価をするときは、就業規則に記載することを労働基準法では求めています(労働基準法89条9号)。就業規則に記載することによって、理屈上、企業は従業員の行動に働きかけて従業員が企業にとっては悪い行為をしないようにすることができます(実際に就業規則をちゃんと読んでいる従業員は少数派だと思いますが…)。
■懲戒処分の定義と種類
以上の背景からわかるように、企業が従業員による企業の秩序を乱す行為に対して課す、マイナス評価を伴う罰のことを、懲戒処分といいます。
懲戒処分には、軽いものから順に、けん責(始末書を書かせる)等、減給、出勤停止、降格、論旨解雇、懲戒解雇の6つの段階がありますが、今回のパナソニックの事例は約40%の人が出勤停止以上の懲戒処分ですから大変な事件だったことがわかります。
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