■損害賠償請求は高額になるケースが多い
不正インストールが実際になされたとき、著作権保護団体やソフトウェア企業から損害賠償を請求されます。この損害賠償は、不正インストールされたソフトウェアの価格を基準に計算されます。
しかし、業務用のソフトウェアは高額ですし、インストール件数が多いとその分だけ加算されますから、損害賠償額は簡単に膨れ上がります。しかも、この損害賠償は、後から正規のソフトウェアを買ったからといって免れるものではありません。企業の存続を揺るがすレベルの損害賠償請求がなされることも珍しくありませんから、決して甘く見るべきではないでしょう。(なお、不正インストールは著作権侵害行為ですから、刑事罰が科されることもあります。)
■不正インストールの通知を受けないために
ひとたび不正インストールの通知を受けたとき、これへの対応は相当な労力が必要になります。そのため、不正インストールの通知を受けないための対策をとっておくことが重要です。特に次の2点が重要です。
1.購入したソフトウェアの管理
“購入したライセンス数以上の台数をインストールしてしまっていた”というのが不正インストールの典型的なパターンのひとつです。また、“正規に購入したはずなのに、資料をなくしてしまい正規に購入したことを証明できなくなった”というのもしばしばみられます。
そのため、購入したソフトウェアのライセンス数はしっかり確認し、また購入した記録はしっかり残しておくなど、ソフトウェアの管理は適切に行っておきましょう。
2.社内PCの管理
社員が無断で不正インストールを行っていたという事例も多くみられます。
このようなケースでは、不正インストールの通知を受けて初めて会社がその事実を知ることになります。しかし、“社員が勝手にやったことだから”という理屈で会社の責任が免れる可能性は極めて低いものです。そのため、社内PCに関してはソフトウェアのインストールを制限するとか、定期的にインストールされたソフトウェアをチェックするなど、社内PCの管理を行っておくことが重要です。
不正インストールのリスクはどの企業にもあり得るもので、しかもそれによるダメージは甚大なものになります。しかし、少しの工夫でリスクを回避することも可能ですから、この機会に一度、自社のソフトウェア管理について再確認されてみてはいかがでしょうか。
*著者:弁護士 渡辺 泰央(四谷コモンズ法律事務所。インターネットトラブルやWEBに関する事案を多く取り扱う。)
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*cba / PIXTA(ピクスタ)
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