【博多駅前陥没】パーキングから車が出せない…駐車料金の支払いは法的にどうなる?

JR博多駅前の大規模な陥没事故は、事故から1週間で通行止めの解除がなされ、復旧の速さにみなさん驚かれているのではないでしょうか。

さて、この事故に関連し、入出庫口の道路が陥没しているため立体駐車場から車を出せない人の駐車料金はどうなるのかというトピックスが、インターネット上の掲示板で話題になっていました。

今回は、掲示板で話題になっているような、出庫口に面した道路が陥没して出庫不可能になってしまった場合等、災害などの不可抗力で出庫できないとき、現実に出庫するまでの駐車料金を払わなければいけないのかについて解説したいと思います。

Q.災害などで出庫不能となった場合、駐車料金を全額支払う必要はあるの?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

大手の駐車場運営・管理会社の場合、駐車場利用規約において、不可抗力等の駐車場の管理者の帰責事由(過失)によらない出庫不能の場合には損害賠償責任を負わない旨の免責条項が定められていることが多いです。

もっとも、このような免責条項で想定されている損害は、主に休車損害などの車を利用できなかったことに基づく損害ですから、災害復旧時(出庫可能時)までの駐車料金全額を払わなければならないかどうかは、免責条項によっては一義的に定まらないといえます。

 

今回のように、第三者の引き起こした事故により出庫口に面した道路が陥没し、駐車場管理会社と駐車場利用者のいずれにも帰責事由がなく出庫不能となった場合には、双方の立場からの立論が可能です。

駐車場スペースを現に占有している以上は駐車料金を払うのは当然という管理会社の立論も成り立ち得ます。一方、駐車場利用者側としては、契約の解釈として、出庫して駐車場利用を終了すること、すなわち駐車場利用契約を終了させることが不可能である以上は、現に車を止めていた時間分の駐車料金を支払う必要はないという立論も成り立ち得ます。

 

A.全額は支払わないで済む可能性が高い

駐車場利用規約上、利用時間や駐車料金の上限(「48時間分の利用金額」、「3万円」などが多いのではないでしょうか。)が定められていることが多いですので、落としどころとしては、駐車場利用規約で定められている上限金額の支払いで決着といったところでしょう。

なお、今後、同様の事故が起こった場合には、安全に駐車場内へ立ち入ることができることを前提に、駐車場利用者は本来出庫したかった時間に料金を支払って、車を空きスペースに駐車させておくのも一つの方法だと思います。

ちなみに、法律上・契約上、駐車場管理会社は駐車料金の支払いがない場合は車を留置できますので、料金の問題が解決しないまま車の返還請求を求めることはできません(今回のようなケースで実際にそこまで強固な対応を取る駐車場管理・運営会社はないと思いますが…)。

*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)

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*kokano / PIXTA(ピクスタ)

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木川 雅博 きかわまさひろ

星野・長塚・木川法律事務所

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