離婚時に揉める大きな原因のうちのひとつに「養育費」があります。
養育費を払う、払わない、いくら払うのか、いつまで払うのかなどはもちろん、離婚後にそれぞれの生活環境が変わってしまった時などが原因で、離婚後も揉めるケースがよくあります。
例えば、元配偶者に対して養育費の支払いを約束して離婚したが、その後、自分の収入が減ったり、元配偶者がお金持ちと再婚したような場合、一方的に養育費の金額を減額したり、支払い自体をストップすることはできるのでしょうか。
■まずは元配偶者との協議を。整わない場合は裁判所で調停・審判に
一度決められた養育費を減額したい場合、まずは元配偶者との間で協議することになります。
協議が整わない場合には、裁判所に対して養育費減額の調停・審判を申し立てる必要があります。一方的に養育費の金額を減額したり、支払いをストップすることはできません。
■子供の病気や支払い義務者の収入減少で養育費の減額が可能に
養育費の減額が認められるのは、その後の事情変更が認められる場合です(民法880条)。
事情の変更として認められるのは、子どもが大きな病気をしたり、進学したりすることで、特別の費用が必要になった場合や、義務者の収入が失業等で減少した場合、権利者の収入が増加した場合などとされています(冨永忠祐編・『離婚事件処理マニュアル』より)。
もっとも、どんなに重大な事情の変更があっても、養育費を全く支払わなくてもよいということにはならないでしょう。
以上のとおり、一度決められた養育費の金額を減額するためには、元配偶者との協議が整わない場合には、必ず、裁判所に対して、調停・審判を申し立てる必要がありますので、自分の勝手な判断で養育費の金額を減額するということはできないということになります。
*この記事は2015年10月に掲載されたものを再編集しています。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)
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