高畑事件で名前をネットにさらされたホテルは名誉棄損で訴えることができるのか?

タレントの高畑裕太容疑者が強姦事件を引き起こしたことが、マスコミで大々的に取り上げられましたが、事件に関連して飛躍的に知名度が上がったものがあります。それは、事件が起こったホテルです。

事件が発覚するやいなや、ネット上ではさっそくホテル探しが始まり、まもなくホテル名がさらされました。これにより、ホテルの評判に対する著しい低下が予想されますが、ホテル側はネット投稿者に対して名誉棄損で訴えることはできるのでしょうか?

画像:https://pixta.jp/

 

■名誉棄損かのジャッジポイントは大きく3つ

なお、事件があった当日のホテルの夜勤は女性一人。いくつかのメディアは、当初から「ホテルの管理体制に問題があったのではないか」といった指摘をしていましたが、ホテル名が特定されたことで、今度はネット上で名指しの批判が始まりました。

こうした情報をみると、いかにも従業員の安全をおろそかにする悪質なホテルに見えます。しかし、旅行サイトでは従業員の接客態度が高く評価されています。おそらく、従業員のモチベーションは高いのでしょう。しかし、ホテル名が発表されたことで、これまで築いてきた評判は著しく傷つけられました。

「名誉棄損に当たるかどうかのポイントは、『事実が公共の利害に関する事実であること(公共性)』『事実を暴いた目的が専ら公益性を図ることにあること(公益性)』『暴いた事実が真実であること(真実性)』の3つの要件を満たしているかどうかです。満たしている場合、訴えて法的責任を問うことは難しくなります」と答えてくれたのは桜丘法律事務所の大窪和久弁護士

つまり、ホテル名を名指しで批判されたことによって、仮に社会的評価の低下を招いたとしても、晒された内容が3つの要件を満たしていれば、ホテル側は投稿者を名誉棄損で訴えられないわけです。注意して欲しいのは、だからといって、名前をどんどん暴いて構わないというわけではないことです。加えて、あえてホテルの名前を明示する必要があったかどうかも問われるからです。

 

■性犯罪においては被害者の身元特定は必ず避けるべき

仮に、女性一人で夜勤をしているホテルが、極めて特殊なことであれば、名前を明示する必要があるかもしれません。しかし、世の中には女性一人で夜勤をしているホテルが沢山あります。そうした時に、あえて、このホテルの名前を明示する必要は見当たらなくなるわけです。

とくに、今回のように強姦が伴うケースでは、ホテルの名前を明示することによって、被害者の特定がなされやすくなるという問題が別途あります。性犯罪の被害者にとって身元を特定されるということは大きな不利益になりかねないためです。ですから、大手メディアは被害者の特定につながるような情報については取り上げていないわけです。

「友達限定のSNSだからといって法的責任を免れるということはありません。今回の事件に限らず、ネット上に投稿するにあたっては、関係者に関する損害や不利益について十分な配慮が必要です。『軽い気持ちで』といった言いわけは通用しません。ネットとつきあうためには、拡散させたり、書き込む前に立ち止まって少し考える慎重さが必要かもしれません。みなさんも、気をつけてください」(大窪弁護士)。

 

*取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間の間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。北海道紋別市で3年間、鹿児島県奄美市で3年間、公設事務所の所長をつとめたあと、再度北海道に戻り名寄市にて弁護士法人の支店長として5年間在任。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。)

*取材・文:ライター  竹内三保子(編集プロダクション・カデナクリエイト代表。西武百貨店入社後、紳士服飾部、特別顧客チームを経て、経済評論家の竹内宏に師事してライターに。「中小企業」「働く女性」「医療・介護ビジネス」などに関する記事を執筆。共著は『クイズ 商売脳の鍛え方』(PHP)『図解&事例で学ぶビジネスモデルの教科書』(マイナビ)など。)

*白雨 / PIXTA(ピクスタ)

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