爆発物と勘違いされた「せんべい入りの一斗缶」・・・置いた人は罪に問われる?

先日、東芝の本社近くに不審な一斗缶が放置されているとして警察が出動し、避難する人が現れる事態となりました。

しかし、回収した一斗缶の中身は「せんべい」だったとして話題となっています。

爆発物ではなかったことは良かったものの、騒ぎとなり、多くの人達に迷惑をかけてしまったというのは事実でしょう。

もし、騒ぎを起こすためにわざと置いたとしたら法的にはどのような扱いとなるのでしょうか。また、たまたま置き忘れてしまった場合などについても法的にはどうなるのかを解説していきましょう。

赤城 一人 / PIXTA(ピクスタ)

赤城 一人 / PIXTA(ピクスタ)

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■騒ぎを起こすために置いた場合

爆発物騒ぎにより、社屋が近くにあった東芝の業務が妨害され、警察が出動する事態となった場合、業務妨害罪の成立が問題となります。

まず、東芝との関係では、故意に(意図的に)、業務を妨害あるいは騒ぎを起こすために、爆弾ではないかとの恐怖を与える不審物を置いた場合には、威力業務妨害もしくは偽計業務妨害が成立します。

なお、威力業務妨害罪と偽計業務妨害罪は、業務妨害の方法・態様が、業務の障害となる事由を誇示するか否かなどによって区別されますが、法定刑は同じです。

また、警察との関係でも、不審物騒ぎにより、警察の出動業務を混乱させ、本来行うことができた業務を妨害している以上、業務妨害罪が成立すると考えられています。

警察に対する関係で業務妨害罪が成立するというのは、一見、なぜ?かと思うかもしれませんが、実務上は、匿名の掲示板上での虚偽の殺害予告や爆発物予告の書き込みによって警察を出動させ、本来不要な警備措置を取らしめた場合などに、業務妨害罪の成立が認められています。

 

■たまたま置き忘れた場合

東芝の業務が妨害され、警察が出動する事態となった場合でも、不審物が、たまたま置き忘れたものであった場合、騒ぎを起こしたり、東芝や警察の業務を妨害することの故意がなく、業務妨害罪は成立しません。

業務妨害罪については過失犯が規定されておらず、過失業務妨害罪はありませんので、たまたま置き忘れた場合には、犯罪とはなりません。

報道を読む限り、今回のケースでも、誰かがたまたま置き忘れた可能性が高いようで、警察の方でも、これ以上立件して業務妨害容疑で捜査する予定はなさそうです。

 

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■民事上の責任

以上、刑事上の業務妨害罪について説明しましたが、民事上の不法行為は、故意だけはなく、過失の場合も成立します。

したがって、爆発物騒ぎによって、東芝の業務が多大な支障を受けた場合には、理屈の上では、過失による業務妨害行為を理由に、不法行為に基づく損害賠償責任が肯定される余地がないではありません。

ただし、業務を妨害されたとしても、たまたま置き忘れた人に対し、実際に責任追及することはあまり考えられませんので、今回のケースでは、民事上も責任追及されることはないものと思われます。

 

業務妨害罪との関係では、近年、安易なネット上の犯罪予告書き込みが、警察に対する業務妨害罪を理由に摘発されるケースが増えています。ほんの軽いいたずらのつもりでも取り返しのつかないことになりますので、気を付けましょう。

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星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1‐21‐8 弁護士ビル303

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