子どもがお年玉とかお小遣いを預金してある程度貯まった時に、親が勝手に使っても良いのでしょうか。
子どもが成人していれば、成人である子どもがその預貯金を管理しますので、親といえども勝手に使うことは出来ません。仮に子どもの通帳と印鑑を勝手に使い、預金を引き出せば、横領などの犯罪になりますし、民事上も損害賠償責任を負います。
●未成年の財産は親が管理して良い
子どもが未成年の場合は、親には子どもの財産を管理する権限がありますから、正当な目的のために子どもの預貯金を使うことは違法ではありません。
たとえば、子どもが預貯金を使っておもちゃを買いたい場合に降ろすことはなんら問題がありませんし、子どもの学費に使うことも問題はありません。
ただ、学費に使うと言っても、親に多大な収入や資産があるのに、あえて子どもの預貯金を使う場合は問題になり得ると思います。
●生活費に使う場合はどうなる?
それでは、生活費に使う場合はどうでしょうか。これもケースバイケースです。貧乏な家庭だと、子どもがもらったお年玉を生活費に充てざるを得ない場合もあり、それが、将来に問題になるとすれば、親にとって酷です。
貧乏な家庭でも、生活費ではなく、遊興費に使えば、問題となりえます。ただ、遊興費といっても、子どもと一緒に遊園地に行くような場合は問題とならないでしょう。しかし、親がパチンコをしたりたばこを買ったりするのは問題となり得ます。
とはいえ、現実問題として、未成年の子どもが親の責任を追及するのは困難です。成人した後に、未成年時代の親の行為の責任を追及することになると思いますが、それも、証拠が少なく現実的には困難です。
●子役の報酬を子役が成人してから支払うケースも
ハリウッドなどでは、子役の報酬を子役が成人した後に支払うことがあるそうです。未成年の内に子どもの預金とすると、親が勝手に使ったりして問題となるからだそうです。支払われる額が多いので、そのような手段を取っているのでしょう。
日本でも、祖父母が孫に多額の金銭を贈与する時、親の管理権が及ばない信託にすることもあります。信託財産にすれば、子どもが成人するまで、親といえども勝手に降ろすことは出来ません。子どもは、成人後信託財産を自由に使えることになります。
*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)
*よっし / PIXTA(ピクスタ)