インターネットで、AKB48メンバーの家族が営む飲食店が、度々、大量予約のドタキャン被害に遭っていることが話題になっています。
飲食店が料理を準備した後にドタキャンされると、当然食材や人件費等の財産的被害が発生します。
このような被害について飲食店は泣き寝入りするしかないのか、それとも、法的な手段を取ることができるのか、今回はこの点について解決していきます。
◾︎ 業務妨害罪になる可能性が高い
今回のような件については、完璧に忘れていた、あるいは予約を早い段階で取り消していたと完全に勘違いしていたというケースでない限り、業務妨害罪に問われる可能性があります。
注意してもらいたいのは、いわゆるアンチが嫌がらせを意図してやる場合に限られないということです。
単に予約が残っているのをわかっていながら、何の連絡もせずに来店しない場合でも、法的には業務妨害罪が成立しうるのです。
業務妨害罪が成立するためには、積極的に飲食店の経営を妨害しようという意図までは必要なく、ドタキャンすれば経営の妨げになることを認識していれば足りるからです。
◾︎ 損害賠償請求をすることができる
また、アンチによる嫌がらせの場合もそうでない場合も、お店側は、客に対してドタキャンにより被った損害の賠償を請求することができます。
損害賠償請求請求については、ついうっかり予約を取り消し忘れた客にも、取り消したと勘違いした客にも請求できます。
業務妨害罪の成立とは違い、損害賠償については、相手に過失しかない場合でも、請求が可能だからです。
◾︎実際の責任追及は難しい
実際には、アンチによる仕業の場合は特に、業務妨害罪に問うことも損害賠償請求をすることも難しいと言わざるを得ません。
このような嫌がらせを行う人間の多くは、自分がやったということがばれないようにするため、プリペイド式の携帯電話やインターネットカフェのパソコンなどを利用して予約を行ったりするからです。
また、被害を被る方も1回の損害額がせいぜい10万円程度にとどまることが多いため、費用等を考えると法的な手段をとりにくいのです。
個人的には、こういう嫌がらせは、上記のようなことをわかった上でやっていることも少なくないことから、そのような意味でも悪質極まりないと考えています。
さらに、損害賠償を請求しても、支払うだけの資力が犯人にないことも多く、被害回復が難しいという問題もあります。
警察もこのように一見犯罪かどうか区別がつきにくい件は、被害届を受理すらしないことが多いのが実情ですが、まずは一度相談に行くことをお勧めしたいと思います。
*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)