互いにリスクがありながらも不倫を続ける関係「ダブル不倫」。世の中には「ダブル不倫から抜けられない」「ダブル不倫がバレました」などという相談が溢れかえっています。
ダブル不倫というのは、不倫をしている自分も不倫相手も共に既婚者である場合のことを言います。
不倫をされた側にとっては普通の不倫よりも厄介な状況とも言えますが、配偶者がダブル不倫をしていた場合、慰謝料の額や考え方などについて解説していきます。
■双方に慰謝料請求が可能
不倫をされた自分の配偶者は、自分に対して離婚や慰謝料を請求できるだけでなく、不倫相手に対しても慰謝料を請求できます。
不倫をされた不倫相手の配偶者も、不倫相手に対して離婚や慰謝料を請求できるだけでなく、自分に対しても慰謝料を請求できます。
この場合、不倫をされた自分の配偶者も、不倫をされた不倫相手の配偶者も、何も悪くないわけですから、ダブル不倫であるからといって慰謝料を請求できなくなるわけではありません。
■慰謝料の額はどうなる?
慰謝料は、精神的ダメージに対する賠償金のことです。慰謝料は、精神的ダメージをお金で弁償してもらうためのお金ということです。
慰謝料の額については、被害者の精神的ダメージの程度はどうか、加害者がわざとやったかうっかりやったか、加害者がどういったことをしたのか、被害者や加害者がどういった社会的立場・職業でどういう資産を持っていて家族の状況はどうだったか等一切の事情を元に、裁判所が被害者の請求する範囲内で裁量によって決めます。
不倫の場合、不倫をされた事自体や不倫によって家族関係がギクシャクして離婚に至った事による精神的ダメージに対する賠償金が慰謝料ということになりますが、不倫をされた者について医師の診断書で病名が付く程の精神的ダメージがあったかどうか、不倫相手に配偶者がいることを知って不倫していたのかそれとも不倫相手から独身と聞いてうっかり信じていたか、不倫行為の期間・回数・内容・程度はどうか、どういった経緯で不倫に至ったか、不倫された者にも何か原因がないか、不倫された者と不倫した者の社会的立場・職業・資産はどうか、不倫が不倫された者の家族関係にどういった悪影響をもたらしたか(離婚にまで至ったかどうか)等一切の事情を元に判断されることになるかと思います。
したがって、自分の配偶者が不倫相手に請求できる額も、不倫相手の配偶者が自分に請求できる額も、様々な事情を元に判断されるわけであって、事情が違えば額も変わってくるわけです。
■ダブル不倫の場合
ダブル不倫の場合、悪いのはあくまで不倫した者ですから、不倫された者が配偶者の不倫相手に慰謝料を請求するに当たって、ダブル不倫を理由に慰謝料の減額を求められるいわれはないと考えられます。
不倫をされた者にダブル不倫の原因がある場合には例外的に慰謝料の減額(過失相殺)が認められるかもしれませんが、通常想定できません。不倫が発覚した場合、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されるだけでなく、自分の勤務先や配偶者にばらすと脅される場合もよくあります。
お金だけの問題では済まないと思いますので、ご留意ください。
*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)