「民間人による現行犯逮捕」はどのような時に可能となるのか

少年逮捕

■逮捕状による逮捕が原則

まず、あくまでも裁判官があらかじめ発行する逮捕状によって捜査機関が逮捕するのが原則です。

令状主義と言いますが、裁判官に逮捕の理由・必要性をチェックさせて不当な逮捕(=人権侵害)を防止するための原則です。

 

■現行犯逮捕

現行犯人というのは、逮捕者の目の前で犯罪を行っている者や、犯罪を行い終わったところを逮捕者に目撃された者のことを言います。

法律は、現行犯人について、何人でも(=民間人でも)、逮捕状がなくても逮捕することができるとしています。令状主義の例外です。

すなわち、逮捕について令状主義の原則を貫きますと、犯行を目撃した人は、目の前で犯罪が行われたとしても自分が捜査機関でなく令状も持っていなければ逮捕できません。

そういうことですと犯罪者は逃げて行方知れずということになりかねません。こうした目の前で犯罪が行われているという状況の場合、今ここで誰かが逮捕しておかなければいけないという緊急性があるわけです。

また、目の前で犯罪が行われたのであればその人が犯罪者だということは明白ですから誤認逮捕のおそれもありません。

そこで、現行犯逮捕については、令状も要らないし、民間人でもいいということになっているわけです。

 

■現行犯逮捕の制限

軽微な犯罪については、犯人の住居・氏名が明らかでない場合や犯人が逃亡するおそれがある場合に限り現行犯逮捕できるとされています。

軽微な犯罪というのは、30万円(一部の犯罪については2万円)以下の罰金、拘留または科料といった刑が定められた犯罪です。

侮辱罪、過失傷害罪、変死者密葬罪、軽犯罪法違反などです。

軽微な犯罪の場合、逮捕するまでもない場合がほとんどですので、人権に配慮して具体的に逃亡のおそれがある場合に限って現行犯逮捕を認めているわけです。

 

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

冨本和男
冨本 和男 とみもとかずお

法律事務所あすか

東京都千代田区霞が関3‐3‐1 尚友会館4階

コメント

コメント