■業務妨害罪になる可能性
例えば、教師の授業の仕方が気に入らないからといって、授業中、執拗に教師に苦情を述べ続けたり、大きな声で怒鳴るような場合には、その程度がひどければ業務妨害罪が成立する可能性があります。
業務妨害罪が成立するには、実際に授業が中断され、継続できなくなるところまでは必要ありません。これ以上継続できない危険が発生すれば成立します。業務妨害罪が成立すれば3年以下の懲役又は100万円以下の罰金となる可能性があります。
ただ、単なるおしゃべりがうるさい程度では、業務妨害罪は成立しにくいといえるでしょう。
業務妨害罪の成立には、自分たちの私語が学校の授業を妨害しているという認識が必要です。また、おしゃべりのために授業が継続できない危険性が生じる場合もあまり考えられないでしょう。よほど極端なケースでない限り、業務妨害罪に問うことは困難ではないかと思われます。
■場合によっては、侮辱罪や名誉棄損罪になる可能性
また、授業中、気に入らない教師を侮辱する言葉(例えば、「能無し」など)や、事実を指摘してその名誉を害するような言葉(例えば、「○○大学しか出ていないからこんな授業しかできない)を親が吐くような場合には、侮辱罪や名誉棄損罪が成立する可能性もあります。
このようなケースでは、教師が精神的苦痛を被ったとして、その親に対して慰謝料を請求することも可能となることがあるでしょう。
最近は、学校との関係で親の力が強くなる一方で、モラルが低い親、クレーマーとしか呼びようがない親も少なくい状況となっています。モンスターペアレントという言葉もすっかり定着しました。
学校に多くを期待するのであれば、親の学校に対する姿勢も問われるのは当然です。行き過ぎた苦情やモラルの低い態度は法的にも問題にされる可能性があることを、親の立場にある人たちも認識する必要がるといえるでしょう。
*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)
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