ロシアの空港に住み着いた日本人が話題に・・・日本の空港でやったらどうなる?

●日本国内の空港の制限区域内に住み続けることは難しい

制限区域(トランジットエリア)とは、その空港がある国の出国手続を終えた人や、他の国から来たがその空港のある国の入国手続を終えていない人がいる、通常は飛行機の乗継ぎ(トランジット)のために利用される区域をいいます。

そのため、その空港のある国のビザを持っていない人でも制限区域内にいることが可能です。

しかし、制限区域内であっても、空港施設は日本国内にあるため日本の法律が適用されますし、当該空港の施設管理権や警察権・行政権の及ぶ範囲の場所になります。

制限区域は基本的にトランジットのために利用される場所ですから、ずっと留まり続ければ職務質問などの対象になり、日本に亡命する等の正当な理由がある場合には上陸特別許可を得るように、正当な理由がないのであれば出国をするように促されることになります。

実際、2009年には、入国管理局が成田空港に留まり続けた中国人人権活動家に対して退去を求める申渡書を交付しています。

それでもなお留まり続ける者に対しては、最終的には出国命令等の手続により退去させられることになるでしょう。

 

●制限区域内において、当面の間、物乞いをして生活することはどうか。

物乞いは軽犯罪法によって禁止されています。先に述べたとおり、制限区域内であっても日本の法律が適用されますから、他の旅行者や空港の職員等から食べ物を恵んでもらって生活することは違法になってしまいます。

このように生活しているとすぐに職務質問等を受け、退去までの時間が早まることになるでしょう。

以上のように、日本の場合は制限区域内に住み続けることは難しいです。もし、帰国できない事情がある場合には、上陸特別許可や難民認定等のしかるべき手続を取るほかはないといえます。

 

*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)

木川 雅博 きかわまさひろ

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1-21-8 弁護士ビル303

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