■駐車禁止違反にならない場合とは?
しかし、駐車禁止区域に駐車しても、例外的に駐車違反にならないケースがあります。例えば、東京都道路交通規則によれば、災害救助や人命救助、消防活動などのために使用している車両については、駐車禁止区域の表示がある場所に駐車しても違反とはなりません。
また、郵便物の集配などのために使用している車両やごみ収集車も同様に、駐車禁止区域の表示がある場所に駐車しても違反とはなりません。
しかし、例外的に駐車禁止違反とならないケースは、道路交通法やその関連法規に定められているケースに限られます。
■今回のケースはどうか?
道路交通法やその関連法規からすると、今回のケースは、駐車禁止違反が例外的に除外されるケースには該当しないようです。ですから、警察が罰金を徴収することは法律違反とはいえないようにも思います。
しかし、具体的な状況次第では、今回のケースは、警察の権限濫用に該当し、罰金の徴収が違法となる可能性もあるのではないかと思います。
仮にそこまでに至らないとしても、今回の措置は、高齢の急病人を救護しようという「人の善意」を踏みにじるもので、不当極まりないものではないかという疑念を禁じえません。
日本の駐車違反取り締まりは、あまりにも形式的かつ「点数主義的」で、一般市民の目には、非常に姑息に映ることも多々あります。
警察には、駐車禁止違反取り締まりの目的は何かということにもう一度立ち返って、行き過ぎた取り締まりはやめてほしいと考えます。
*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)
*Dachs / PIXTA(ピクスタ)
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