●お金を出した人が所有者
「ころちゃん」はどちらかがお金を出してペットショップから購入したはずですので、その場合、原則として、実際にお金を出した人が「ころちゃん」の所有者であることになります。
ただ、お金を出した人が、相手のために買ってあげたということであれば、お金を出した人から相手に対して「ころちゃん」の「贈与」がなされたということになりますので、贈与を受けた人が「ころちゃん」の所有者になります。
なお、2人でお金を出し合って「ころちゃん」を購入して、購入後も2人で飼っていたということであれば、「ころちゃん」は2人の「共有物」ということになります。
●2人でお金を出した場合は・・・
この点、「共有物」については、共有状態を解消するために、一方の共有者から他方の共有者に対して、共有物分割請求をすることができます。
そして、共有物分割の方法は3つあって、(1)現物分割、(2)換価分割、(3)代償分割となります。
(1)の方法は、一筆の土地を二筆に分けるようにその物自体を現実に分割する方法です。そのため、生き物である「ころちゃん」の分割時には当然採用することができません。
次に、(2)の方法は、「ころちゃん」を第三者に売却(競売)して、その売却代金を2人で分けるという方法です。しかし、2人は「ころちゃん」は自分が面倒を見ると主張しているわけですから、「ころちゃん」を手放すことが前提とするこの方法も採用されないでしょう。
そのため、「ころちゃん」については(3)の方法が採用されることになるかと思います。この方法は、どちらかが「ころちゃん」の所有権を取得する代わりに、相手に対して代償金を支払うという方法です。
「ころちゃん」の親権者が熊切さん、片岡さんのいずれになるのかは大変興味深いところですが、最終的には「ころちゃん」が一緒にいて一番幸せになる人が「親権者」となることを祈っています。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)
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