屋外でバーベキューをやるにはいい季節となり、友人や家族と一緒にバーベキューをする機会が多い方もいるでしょう。中には、自宅の庭やベランダでバーベキューをする方もいるかもしれません。
では、近隣住民がバーベキューをして、煙やにおい等が自分の家に流れ込んできた場合、バーベキューをしないでもらうよう言うことができるのかについて解説してみたいと思います。
●限度を超えたらアウト
以前、『迷惑なタバコの煙・・・隣人を訴える為に「受動喫煙」を証明する方法』で解説したとおり、ある行為をすること自体は違法でない場合には、その他人の行為によって不快な思いをしたとしても、社会通念上許される範囲までは我慢しなければならないと考えられています(受忍限度論といいます)。
したがって、近隣住民のバーベキューの煙やにおいが洗濯物についたり、夜遅くまで笑い声が聞こえたりすることがあっても、バーベキューの頻度、騒音の程度によっては受忍限度の範囲と評価され、法的にバーベキューをしないでもらうよう請求することはできません。
逆に、住宅が密集する地域で、毎日のようにバーベキューをされて洗濯物を外に干すことができない常況にあったり、毎日のように深夜まで大騒ぎをしてたりすることを証明できれば、バーベキューをしないように請求したり、損害賠償請求をすることができるでしょう。
ただし、立証の困難さや費用倒れに終わる可能性があることも『迷惑なタバコの煙・・・隣人を訴える為に「受動喫煙」を証明する方法』で解説したとおりです。
なお、集合住宅の場合、ベランダ等の共用部分でのバーベキューは管理規約違反になることが多いです。
●バーベキューをする側の配慮が大切
現在はご近所づきあいも減ってきているとは思いますが、バーベキューをするときは、(1)ご近所さんに事前にあいさつをする、(2)なるべく近隣のお宅と接していない場所で行う、(3)夜遅くまで大騒ぎしない、(4)火の始末をきちんとする、⑸バーベキュー後に顔を合わせた際に問題がないか聞いてみる等の配慮をきちんとしていれば無用のトラブルを避けられる可能性が高まるでしょう。
自宅でバーベキューをする方は、ご近所同士の無用のトラブルを避け、楽しい夏の思い出にしていただければと思います。
*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)
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