無理やり撮影されたAVが流通してしまったらどうするべきか

■法外な違約金を請求されたら

では、芸能プロダクションを名乗る組織と契約した際に女性がすでに成人していた場合はどうでしょうか。

AV出演を拒絶すると、芸能プロダクションの指示に従わなかったとして、法外な違約金を請求されるケースがあるといいます。若い女性が数百万円、数千万円という巨額の違約金を支払う財力を持ち合わせていることはほとんど考えられませんので、女性たちはAV出演をしてしまうようです。

これらのケースにおいては、まず、巨額な違約金が契約書等で合意されていたとしても、そのような合意は、公の秩序又は善良の風俗に反するものとして民法上無効となりますし(民法95条)、また、芸能プロダクションが違約金の支払いをちらつかせて女性を脅迫しAV出演契約を締結させた場合には、民法上、契約を取り消すことができます(民法96条)。

さらに、これらの場合、芸能プロダクションには、刑法上も脅迫罪ないし強要罪が成立する可能性があります(刑法221条1項、同223条1項)。

 

■AVの流通を止める方法

AV出演契約が取消しもしくは無効となった場合、芸能プロダクションやAV制作会社は当該AVを販売することはできません。

販売が中止されない場合、民事訴訟を提起して販売をやめさせることが考えられますが、事案の性質上、一刻も早く流通を阻止する必要性が高いため、被害者は、裁判所に対し、芸能プロダクションやAV制作会社がAVを販売したり、無償配布したり、第三者に引き渡したりしないことの仮処分を申し立てるのが賢明です。

民事保全法は、民事訴訟の本案の権利の実現を保全するための民事保全命令(ここにいう仮処分も含まれます)等について定めている法律であり、終局的解決を目的とするものではなく、かつ、権利の保全のために迅速性が要求されるため、民事訴訟と比較して簡略な手続が可能とされています。

しかし、このような手段をとっても、すでにAVが一定程度流通してしまっている場合、女性の権利を事後的に完全に救済することは事実上不可能です。

若い女性たちの無知につけ込むこのような業者の悪質性は非常に高く、許されるべきではありません。女性たち自身もトラブルに巻き込まれそうになったら早い段階で専門家に相談する等の対応が必要でしょう。

 

*著者:弁護士 鈴木翔太(弁護士法人 鈴木総合法律事務所)

*MM4 / PIXTA(ピクスタ)

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鈴木 翔太 すずきしょうた

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