■経歴の詐称は懲戒事由となる
多くの会社の就業規則では、経歴詐称を懲戒事由としています。
懲戒の種類には様々なものがありますが、詐称された経歴が選考・採用の重要な要素となっている場合には一番重い懲戒解雇が選択されることもありますし、裁判例でも学歴詐称を理由とする懲戒解雇が認められた事例が存在します。
なお、珍しいケースですが、高い学歴を低く詐称する場合も経歴詐称に当たりますので注意が必要です。
■採用条件に「学歴・経験不問」とある場合でも懲戒される?
採用条件に「学歴・経験不問」とある場合は、学歴や経験を選考・採用・人事における重要な要素としていないことを意味しますので、懲戒解雇事由とはならないでしょう。
しかし、職務内容や会社の慣例、また、経歴詐称が明らかになったときの会社と従業員との信頼関係の破壊の程度によっては解雇より軽い懲戒処分が下されることがありますので、採用条件に「学歴・経験不問」とある会社であっても経歴詐称をした履歴書を提出することは避けたほうがいいです。
■経歴詐称の履歴書を提出したことは犯罪になる?
重要な経歴を偽った履歴書を提出することは、倫理上はよくないことですが、うその内容の文書を作成しても私文書偽造罪には当たりませんので、刑法上の罪に問われることはありません。
以上のように、経歴詐称は犯罪こそ成立しないものの、懲戒処分を受けたり、事実上職場にいづらくなったりすることになりますので、学歴や職歴を偽ることなく、自分の熱意や特長をアピールして志望する会社に入ることをお勧めします。
*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)
*xiangtao / PIXTA(ピクスタ)
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