■暴れる子どもを放置
この行為についても、鉄道会社に対する関係で、業務妨害罪が成立する可能性があります。
ただし、14歳未満の子供は刑事上の責任能力がないため、子供自身は犯罪となりません。親が子供に暴れるよう教唆したりした場合には、親についても、業務妨害罪が成立する可能性があります。
また、運行支障が生じた場合には、子供が民事上の賠償責任を負わなくても、親が監督責任を負いますので、運行支障による損害賠償をしなければならなくなります。
■乗客同士の喧嘩
近年、乗客同士の喧嘩によるトラブルも多くあります。
他のトラブルと同様、少なくとも運行支障を生じさせたことによる民事上の賠償責任は負います。
■酔客による社内嘔吐
器物損壊行為ですが、基本的には故意がないと考えられるため、器物損壊罪は成立しません。ただし、民事上の不法行為に基づき清掃代の賠償責任は発生します。
■電車内での化粧
車内を汚損するわけではなく、運行支障もないため、法的には問題ないと言わざるをえません。
マナーとしても、許されるとの見解とマナー違反の見解があり、難しいところです。
■まとめ
電車内での迷惑行為は、基本的には、刑事上の業務妨害罪か器物損壊罪、民事上の損害賠償責任のいずれかが問題となります。
故意がない行為は、刑事上の犯罪が成立しませんが、民事上の賠償責任は免れません。実際に鉄道会社が清掃代等を賠償請求することは稀だと思いますが、迷惑行為とならないよう気をつけたいものですね。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)
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