「強制労働」に含まれるもの、含まれないものを弁護士が解説

強制労働に含まれるもの、含まれないものの違いは?

災害発生時や災害発生が目前に迫っている緊急時などに、一時的に公権力から強いられる労務は強制労働に含まれないとされています。

また、刑事事件を起こして有罪判決を受けた場合の刑罰として従事する労働(懲役、労役場留置など)も、強制労働には該当しないと考えられています。

先の強制労働条約においては、「純然たる軍事的性質の作業に対し強制兵役法により強要される労務」は、強制労働に該当しないとされており、これに基づいて徴兵制が敷かれた場合の兵役や軍事工場における労務の強制は、禁止の対象にならないと考えられていたようです。

菅官房長官の発言は、朝鮮半島出身者の上記施設での労働は、韓国併合時、つまり朝鮮半島出身者が日本国籍を有していた時代のものであるから、この強制労働条約によっても禁止の対象とされるものではないという趣旨であったようです(従来の政府見解)。

しかし、植民地から公権力が連行して行わせた労働や捕虜に行わせた労働は、一般的に強制労働に該当すると考えられており、菅官房長官のこの発言には、国内外から批判の声が上がっています。

 

■現代の強制労働

現代の日本では、公権力による強制労働の問題は見受けられませんが、20年ほど前には、茨城県のとある会社が、知的障がい者に給与を払わず、暴力をふるって強制労働をさせていたという事件が発覚しました(水戸事件)。

また、タクシー会社における早期退職者に対する二種免許取得費用(タクシー運転手には必須)の返還請求も、強制労働の一つとして社会問題化したことがありました。

現代の日本では、民間の会社が、暴力や経済的なプレッシャーをかけることにより、意思に反する労働を強いる実態があるといえるでしょう。

また、世界に目を向ければ、北朝鮮の強制収容所に代表されるような公権力による強制労働の問題もまだ残っているといえます。

強制労働は、経済的にも精神的にも搾取して、その人から人間らしさを奪う卑劣なものです。主体が公権力であろうと民間の会社であろうと、強制労働は厳しく糾弾されなければなりません。

 

*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)

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寺林 智栄 てらばやしともえ

ともえ法律事務所

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