■賭博罪に該当するのはどのようなケースか?
例えば、金銭以外のやり取りでも、「予想を外した方がベンツを1台相手に買ってあげる」「世界一周旅行をプレゼントする」など、法外な物・利益を与えるケースでは、たとえ友人間・家族間でも賭博罪に該当すると判断されることになるでしょう。ここまで価値の高いものや利益は、「一時的な娯楽のため」に与えるものとはもはや言えないからです。
なお、金銭については、裁判所の判断はかなり厳格なようで、金額の高い低いに関わらず財物に該当すると判断した最高裁判決もあります。たとえ友人間・家族間であっても違いはありません。
■そもそも賭博行為を禁止する必要があるのか。
実は、賭博罪はどんな利益を守るために犯罪とされているのか不明であるという非難が、従来よりなされています。
結局は、競輪や競馬、競艇などの賭け事を国やその関連団体が独占して利益を得ることを目的として、他の気軽な賭博行為を禁止しているにすぎないのではないか、とも言われています。
一般人による賭博行為を禁止していない国もあり、また、カジノを合法化している国も少なくありません。
少額の賭けマージャンやウィンブルドンの優勝者・サッカーワールドカップの優勝国当てに少額のお金をかけることは、誰の利益も害していないわけですし、パチンコなどのような依存症の問題もないでしょう。市民の小さな楽しみの1つが禁止されるのは、個人的には納得がいかない話です。
*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)
*MakiEni / PIXTA(ピクスタ)
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