●白バイに過失が認められる?
そもそも、白バイは衝突していないのだから関係ないのでは?と思われる方もおられるかもしれませんが、実際に衝突していなくても車両の動向が事故に影響した場合、直接的に接触していなくても責任を問われる場合はあります。
また、白バイは普通の車とは違うので過失云々という話とは別枠じゃないの、という感じもしますよね。でも、白バイ等の緊急自動車といえども道交法に違反した結果、事故が起きれば、過失が認められます。
もちろん、道交法上、緊急自動車については一般の車両などと比べて規制は緩くなっています。
例えば、道交法39条2項は、「緊急自動車は、法令の規定により停止しなければならない場合においても、停止することを要しない。この場合においては、他の交通に注意して徐行しなければならない。」と規定しています。動画の例でいえば、白バイはどうやら赤信号で交差点に進入しようとしていますが、そのこと自体は道交法上問題ありません。
しかし、その場合においても白バイは、他の交通に注意して徐行しなければいけません。この白バイがA車両の交通に注意していたかはかなりきわどいように見えます。白バイから見て左側は大型バスが止まっていて視界は悪いですし、白バイの赤色灯が光ってから衝突まではほんの数秒です。
違反車両を早く追いかけなければいけないとしても、このような交差点への進入はかなり危険なものであると思います。
例えば、もう少し手前で止まりつつ拡声器等で白バイの存在を周知させていれば、この事故は防げた可能性は高いと思います。そうすると、この交通事故につき白バイの運転手についても過失が認められる可能性はあります。
●B車両が一番過失が大きい
具体的な数字を断言することは難しいですが、動画のような事故の場合、基本的にはB車両の過失が一番大きく、A車両と白バイは過失があるとしても軽過失であるという結論に落ち着くのではないかと思います。
こういった非典型的な事故の場合、当事者の対立も激しくなりがちです。こういう交通事故を裁く裁判官にとっても悩ましいところではないかと思います。
*著者:弁護士 河野晃 (水田法律相談所。兵庫県姫路市にて活動しております。弁護士生活5年目を迎えた若手(のつもり)弁護士です。弁護士というと敷居が高いと思われがちな職種ですが、お気軽にご相談していただけるような存在になりたいと思っています)
*動画・サムネイル出典:▶ 白バイの前でタクシーが乗用車に追突する事故発生! – YouTube
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