学校のイジメが「事件」として扱われない理由

イジメと言われる行為でも、仲間外れにしたり、無視したりする程度であれば、刑法に違反することはありません。

しかし、教科書を隠したり壊したり(器物損壊罪、3年以下の懲役)、お金を脅し取ったり(恐喝罪、10年以下の懲役)、殴ったり(暴行罪、2年以下の懲役)、怪我させたり(傷害罪、15年以下の懲役)したら、刑法上の犯罪です。

ところが、多くの人は、このような明白に刑法上の犯罪になる行為まで、「イジメ」という一言で片付けようとします。

仮に、児童の保護者が警察に被害届を出しても、警察が動いてくれるのは稀です。それはなぜでしょうか?

子供イジメ

●なぜ警察は学校に介入しないのか

警察は、学校内の事件や事故にあまり介入したがりません。その理由は不明ですが、多分、学校の自主性をおもんじているからだと思われます。しかし、明白に刑法上の犯罪になるものであれば、警察が積極的に介入すべきだと思います。

私は新米弁護士のころから、学校内の問題に取り組んできました。学校長や教育委員会にかけあったこともありますが、ほとんどが責任逃れに終始します。

その経験から、いまでは、すぐに警察に捜査を求めます。学校の自主性を重んじていれば、被害者が救われないからです。警察が捜査すれば、イジメの加害者だけではなく、その他の関係者に対する事情聴取も迅速に行われ、被害者の救済が早いです。

とはいえ、警察や家庭裁判所が出来ることは限られています。やはり、教育の問題は教師や教育委員会がしっかりとした対応をすることだと思います。また、子供の保護者もしっかりと子供を守るべきだと思います。

各地の弁護士会には、イジメなどの相談窓口があります。おかしいと思ったらまずは電話して下さい。

 

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

*YsPhoto  /  PIXTA(ピクスタ)

星 正秀 ほしまさひで

星法律事務所

東京都中央区銀座2−8−5石川ビル8階

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