「自分はクレジットカード作れないから、カード作るのに名前貸して!!」、「自分のクレジットカード使えないから、カード貸してくれない?」
こんな風に言われて自分のクレジットカードを貸してしまったことはありませんか?自分の親兄弟や親しい友人からの頼みだと、なかなか断り切れないのが人情というものです。
しかし、情にほだされてこのようなお願いを聞いてしまうと、とても大きなトラブルに巻き込まれることになります。今日は、この点についてお話ししていきます。
■「名義貸し」や「クレジットカード貸し」は犯罪行為
そもそも、他人の名前でクレジットカードを作成したり、これを使ったり、所持することは犯罪に該当します。
作成したり、使用したりする場合には、10年以下の懲役又は100万円以下の刑罰に処される可能性があります。所持しているだけでも、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑罰が科される可能性があります。
そして、カードを作るのに名義を貸した人も、作成の罪の共犯として、作成した人と同じだけの刑罰を科される可能性があります。
処罰されるのは、他人がクレジットカードを作るのに名義を貸した場合に限られません。
他人のカードを使って、買い物をしたりキャッシングをしたりする場合には、自分の経済力を偽って物を買ったりお金を借りたりすることを意味するため、詐欺罪や私文書偽造罪に該当する可能性があります。
そして、そのようなことを知っていながら、クレジットカードを貸せば、やはり共犯として同じだけの刑罰が科される可能性があるのです。
■多額の借金を背負うリスクが高い
友人知人に名前を貸してクレジットカードを作らせてあげた場合でも、クレジットカードを貸してあげた場合でも、そのカードを使って買った商品の代金やキャッシングによる借金を、その友人知人が踏み倒せば、その請求は、名義やカードを貸したその人に対して行われることとなります。
この場合、名前を使うことは認めているわけですから「自分の借金ではありません」などと責任を逃れることは困難です。
最悪自己破産して、借金から逃れればいいと考える人もいるかもしれません。しかし、破産法では、「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」については、自己破産による免責の対象にはならないと定められております。このようなケースは、この規定に該当して結局自己破産できなくなる場合もあるでしょう。
そもそも、「クレジットカードが作れないから名前を貸してほしい」「クレジットカードを貸してほしい」と頼んでくるような人は、お金がない人であり、往々にして返す見込みのない人ばかりだということができるでしょう。
それに、このようなことを頼んでくる人は、そもそも人の迷惑を顧みることができない、お金の使い方が無計画という困った人であることも少なくありません。
情にほだされる前に、こんな人とはお付き合いをやめて、自分の生活を守ることを考えてもらいたいと思います。
*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)
*tooru sasaki / PIXTA(ピクスタ)