最近何かとお騒がせのドローンですが、このドローンとはもともとオスの蜂、あるいは蜂がブンブンうなる音、という意味だそうです。
ドローンの起動音が蜂の羽音に似ていることからドローンという名前が付けられたそうです。
さて、このドローンですが、先日首相官邸の屋上で見つかって大騒ぎになり、また、長野県の善光寺で御開帳の行事の際に落下したということがありました。
これらの事件、事故を受け、ドローンに対し法的規制をしようという動きが出ているようですが、現時点でドローンを勝手に飛ばすことは法律に触れるのでしょうか。
●「航空法」も「道交法」も普通に飛ばすだけでは問題がない
大型のドローンになると「航空機」という扱いになり、航空法等の規定に触れる可能性がありますが、小型のものであれば「模型航空機」となり、空港近辺でなく、一定の高度(およそ150~200m)以下である限り自由に飛ばすことができます。
また、私有地上空を飛行する場合は土地所有者の許諾が必要ですが、公道や公園等、一般人が出入りすることができる場所であれば許諾は不要です。
道路交通法でも道路上であれば使用許可がいりますが、道路上空については交通の妨げにならない限り規制の対象とはなっていません。
●「迷惑防止条例」はどうなる?
さらに、各都道府県の迷惑防止条例違反も問題となりますが、条例ではトイレや更衣室など、通常人が衣服を着けないでいるような場所を撮影する場合には、迷惑防止条例に違反しますが、そのような場所を撮影しない場合は条例違反にはならない可能性が高いです。
もちろん、ドローンが落下して地上の通行人にけがをさせたり、物品を破壊したりすると、業務上過失致傷罪に問われたり、民事上の損害賠償責任を負ったりする可能性はありますが、それはあくまでも落下した場合ですので、落下しなければこのような責任は負いません。
●技術の進歩に法律が追い付いていない状況
このように見ると、ドローン使用の大半を占めると思われる、小型ドローンを公園や公道上等の場所で使用し、周囲の景色等を撮影するという行為は、現行の法律では規制できないようです。
技術の進歩に法律が追い付いていない状況だと思われますが、それゆえ、現在国会の方で急速にドローン規制の法律について整備をしており、近日中に法案が国会に提出されるそうです。
これはあくまでも私見ですが、首相官邸上空にドローンが飛ばされ、それを2週間も気づかなかったというのは、警備の不備、怠慢によるところでしょう。
このような警備の不備、怠慢をドローン規制法という形で抑え込むのは、個人的には非常に疑問に感じます。ドローン落下による通行人への被害は絶対に避けなければなりませんので、その範囲での規制は賛成ですが、その目的を超え、不必要に過剰な規制をすることはいかがなものでしょうか。今後の国会の動きを注視したいと思います。
*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)