最近、大手動画配信サイトFC2の実質的経営者が逮捕され、2,600万人以上のFC2の会員情報の入ったパソコンが押収されたことがニュースになりました。
インターネット上ではFC2動画の会員から「俺の個人情報が警察に……」「逮捕されたらどうしよう」などの声が上がっています。
今回のFC2の実質的運営者の逮捕により、押収された会員情報はどのように使われると考えられるのか、また、押収して何をするのか等について解説したいと思います。
●捜査の手は会員にも伸びる?
今回、実質的経営者は、FC2ライブでわいせつ行為を配信した男の事件を受けて、FC2でわいせつな動画を不特定多数人に閲覧できる状態にした公然わいせつの疑いで逮捕されており、会員情報の入ったパソコンもその捜査のために押収されています。
したがって、会員情報の入ったパソコンの押収は、実質的経営者にわいせつな動画が多数アップロードされていたことの認識があったか否か等を調べるために行われています。
「会員の皆様、別に会員が違法な動画をアップロードしていたかを捜査するためではありません。安心してください。」
…となればよいのですが、会員情報、IPアドレス、サーバ等を調べれば会員がどの程度違法な動画をアップしていたかわかってしまいますので、悪質なケースについては立件される可能性があります。
●押収後、どのような捜査が行われるのか
上記のとおり、実質的経営者に対しては、わいせつな動画が多数アップロードされていたことの認識があったか否か等について捜査が行われます。
その中で、会員情報、IPアドレス、サーバ等を調べた結果、わいせつ動画を多数アップロードしており悪質だと判断された会員がいれば、わいせつ行為を配信していた男のように逮捕されることもあり得ます。
警察が捜査をすれば会員情報とIPアドレスの紐づけは容易に行えます。悪質と判断された会員に対しては、警察が家に来てパソコン等の捜索・差押えを受けることになるでしょう。
●「私はFC2のわいせつな動画を視聴やダウンロードしただけでアップロードはしていないのですが…」
わいせつな動画であっても、著作権法違反とならない限り、現行法上、視聴やダウンロードしただけでは違法にはなりません(ただし、児童ポルノの単純所持を罰則をもって禁じている条例が京都、奈良、栃木など一部の自治体には存在します)。
以上述べてきたとおり、FC2の会員すべてに捜査の手が伸びるわけではありませんが、今後はアップロード先を問わず、わいせつ動画のアップロードはしないようにしましょう。
また、今年の7月からは、児童ポルノについてはアップロードのみならず単純所持も禁止されますので、併せて注意するようにしてください。
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*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)