「放送内容が酷過ぎる!」 自転車事故の遺族がフジテレビに激怒・・・法的問題は?

フジテレビで放映された内容が、自分が取材で伝えた内容と違う、事実が歪曲して伝えられていると、インタビューを受けた人がブログで激怒していることが話題となっています。

テレビ番組(特にバラエティ番組)では、演出と称して、しばしば実際よりも大げさに事実が伝えられたりすることなどは、よくあることです。

また、取材をする際にも趣旨だけを説明して、実際にどのように放映されるかについて具体的に説明しないこともよくあるようです。

しかし、だからといって、今回のように、事故の被害者に該当する人が激怒するような切り口、インタビューの取り方まで、許されるものなのでしょうか。今回はこの問題について考えていきます。

フジテレビ

■慰謝料請求の対象になるかもしれない

今回取材を受けた被害者の方は、自身のブログにおいて、事実はどういうことでテレビではその事実がどのように歪曲されていたのか、という点について詳細には書いていません。しかし、この被害者の方の言い分を前提とすると、多大なる精神的苦痛を被ったとのことで、フジテレビは慰謝料を支払う責任を負わねばならないでしょう。

まず、あたかも真面目な再現ドラマであるかのように装って、実際には、インタビューを受けた人が「当たり屋」のような演出をするというのは、その人が自身が受けた被害を公表するかどうか決める自己決定権を侵害しているといえます。

特に事故の被害というのは、その人にとってあまり公表したくない出来事であることも多く、それをテレビという公共の電波に乗せて広く公表するかどうかは、その人が、それがどのように放送されるのか正しく知ったうえで決めるべきことだと考えられます。

被害者の方が言っているインタビューの取り方が本当であるとすれば、フジテレビのやり方は、この方の法的な利益を侵害して非常に大きな精神的ダメージを与えていることになります。

さらに、「当たり屋」として描いて、笑いものにするということは、その人の名誉を傷つけていることにもなります。この点も慰謝料請求をする上で重要なポイントとなります。

 

■名誉棄損罪が成立する可能性もある

今回のテレビでは、当たり屋として自転車事故を装ったという事実(真実という意味ではありません)を公にして、先ほどもお話ししたとおり、被害者の名誉を傷つけているので、放送責任者には、名誉棄損罪が成立する可能性があります。

名誉棄損罪は親告罪といって、罪に問うためには告訴が必要です。告訴されれば、捜査機関が捜査を始め、実際に立件される可能性もあるでしょう。

被害者の方は、所属する被害者の会と相談して「会」として対処してもらう道を選択したようです。実際にどのような措置が今後とられるのかはわかりませんが、フジテレビとしては、最低でも、釈明・謝罪を避けることはできないのではないでしょうか。

私の友人の外国人で、やはり、バラエティ番組で自国の慣習を、馬鹿にされて笑いものにされたと大きな不快感を持った人がいました。

テレビ番組を作る方には、テレビの前には「無関係な第三者」だけではなく、そのことに深く関係している人もいるのだということを忘れないでもらいたいと思わずにいられません。

 

*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)

寺林 智栄 てらばやしともえ

ともえ法律事務所

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