貧困に苦しむあなたへ・・・その生活から抜け出すためにやるべきこと

先日、生活困窮者の無料・定額宿泊所が入居者から生活保護費を搾取している実態、自治体がこのような実態を知っていながら放置している状況に関する記事がネット上に掲載され、話題を集めています。

生活困窮者からお金を搾取し、引っ越しもできない状態を作り、働かせ続けるという負のループから抜け出せない人が増えているということです。

しかし、このような生活困窮者は、いつまでも虐げられた生活しかできないわけではありません。抜け出す為のきっかけを作る事は可能です。今回は、この点について解説していきたいと思います。

こじき乞食物乞い

■生活保護でできること

まず、生活困窮者の方に覚えておいていただきたいのは、保証人や敷金礼金なしで入居できる低価格のアパートがあるということです。また、個人の大家で、生活保護受給者を積極的に受け入れている方がいる地域もあります(筆者自身も、そのような住居を何度か訪問した経験があります)。

非常に古い、あるいは少し狭い住宅であることが多いですが、先の宿泊所のような粗末なものとは全く違います。

また、敷金や引越費用も生活保護費で賄うことができます。多くの自治体では、法律上支給できるこのような費用について、職員が「支給できない」などといって拒否することがあります。しかし、そのようなことはありません。

生活困窮者の方は、栄養バランスが崩れている、過大なストレスがかかっているなど様々な事情により、糖尿病やうつ病など、心身ともに疾患を抱えていることが少なくありません。疾患を抱えていると、働くこともできません。

生活保護には、「医療扶助」といって、必要な医療を受けるための支援も含まれています。

このように、生活保護には、生活困窮者がふつうに人間らしく暮らしていくための支援が含まれているのです。

 

■弁護士や支援団体の手助けを受けよう

本来このような目的をもつ生活保護ですが、不正受給の問題なども手伝って、「怠け者を助長する悪い制度」と誤解を受けています。政治家の中にも、このような誤った認識の元に、生活保護を改悪しようとしている人がいます。自治体も「水際作戦」といって、できるだけ生活保護の受給をさせないようにしています。

このような政治家や自治体の無理解が、生活困窮書を日陰者扱いする風潮を助長しています。そして、その結果、先の宿泊所のような貧困ビジネスが拡大させ、生活困窮者を負の連鎖から抜け出せなくしているといえます。

無料宿泊所のような悪徳業者の餌食にならないようにするために、あるいは無料宿泊所のような劣悪な環境から抜け出すためには、生活困窮者を支援している団体や、弁護士にいち早く相談することが必要です。

このような団体でもっとも有名で実績があるものとして、「反貧困ネットワーク」というものがあります。その相談窓口には、「首都圏生活保護支援法律家ネットワーク」「生活保護問題対策全国会議」などがあり、弁護士や司法書士などの法律専門家も対応に当たっています。

また、各地域には古くから貧困問題に取り組んでいる法律事務所もあります。

個別に紹介することは避けますが、連絡先はすぐに調べることができます。まずは、電話をかけて事情を説明してもらいたいと思います。貧困にあえぐ方々が、負の連鎖から抜け出すための第一歩となります。

 

*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)

反貧困ネットワーク

寺林 智栄 てらばやしともえ

ともえ法律事務所

東京都中央区日本橋箱崎町32-3 秀和日本橋箱崎レジデンス709

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