最近、スマートフォンを持つ子供も増えており、「スマホゲーム」にはまっている子供も多くいます。
これらゲームの中には、何をやっても無料のものもあれば、アプリ自体が有料だったり、有料アイテムを購入する際に課金するシステムのゲームも多くあります。
本来であれば、両親の監督のもとで課金するのが原則ですが、なかには両親名義のクレジットカードを勝手に使用したり、親のスマホを使用し、無断で課金してしまい、トラブルになることがあります。
このような場合であっても、両親は支払わなければならないのでしょうか、考えてみたいと思います。
●親のクレジットカードを使ってしまった場合
まず、親のクレジットカードを無断で使用した場合について考えてみます。
民法上、未成年者が無断で行った契約については、法定代理人(多くは親権者である両親)が取消すことができることになっています。
ところが、実際には、本当に未成年者が契約したのかわからない場合があります。形式的にはクレジットカードの名義は両親ですので、事業者側は、両親が契約したとして、取消に応じてくれない可能性があります。
仮に子供が契約したと判明した場合であっても、親名義のクレジットカードを使用しているとなると、あたかも親の同意があったかのように受け取られる可能性もあります。この場合には、子供の側に詐術(ようは自分が同意を得ているかのように装うこと)があったとして、取消ができないと考えられることもあります。
仮に契約をなかったことにすれば支払う必要はありませんが、取消すことができないとなると、両親が払うことになるでしょう。
●親のスマホを使ってしまった場合
次に、クレジットカード情報が登録されている親のスマートフォンを使用した場合にはどうなるのでしょうか。
この場合には、親名義のスマートフォンで、親名義のクレジットカードを使用しているわけですから、無断で子供が使用したとしても、先ほど述べた場合よりも高い可能性で両親が契約したと判断される可能性が高いです。この場合には当然、両親に支払う義務が生じます。
さらに、子供が無断でやったこととはいえ、子供の行為により、事業者に損害が生じる可能性があるわけですから、事業者側が、未成年者の監督責任として、両親に対して損害賠償請求してくることもないとは言い切れません。
このように見ていくと、スマホゲームの高額請求を逃れるのはなかなか難しそうです。それゆえ、クレジットカードやスマートフォンの管理は厳重にしておくべきでしょう。
*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)