戦争にもルールがある。 「戦時国際法」の内容とは

シリアでの問題など、昨今、世界規模の軍事的な問題に発展しかねないような事件が起こっています。

そのことを受けて、第三次世界大戦が勃発するのではないかなどと物騒なことがいわれることがありますが、その際に「戦時国際法」という言葉が出てきたりします。しかし、戦時国際法といわれてもピンとこないかと思います。

そこで今回は、もしかすると今後身近な言葉になってしまうかもしれない戦時国際法についてわかりやすく説明します。

戦争

●そもそも国際法はどう決まるのか

戦時国際法というとなんだか難しそうですが、戦時国際法も国際法(国際公法)に属する法律です。

では、そもそも国際法はどのように成立するのでしょうか。

一般的な国際法は、条約・協定・協約等の形により国家間で成立しますが、一定期間国際社会において一般的慣行として守られてきたルールも国際慣習法として国際法を構成します。

国際法の成立根拠については、「ロシアのクリミア侵攻は「国際法」に違反?どんな法か」の記事でも解説していますのでご参照ください。

ちなみに、国際連合成立の根拠となる国連憲章も、国際法規範としての性質をもっています。

 

●戦時国際法ではどんなことが定められている?

国際法のひとつである戦時国際法は、戦争状態であってもあらゆる軍事組織が遵守すべき義務を明文化したものです。

戦時国際法と呼ばれるものとしてハーグ陸戦法規やジュネーヴ条約などがあり、代表的なルールとして以下の8つがあります(条約締結国だけに適用されるものもあります。)。

⑴ 軍事目標以外への攻撃禁止(降伏者、負傷者、民間人等の攻撃禁止)

⑵ 休戦旗を揚げながら戦闘する行為

⑶ 遭難信号を不正に発信する行為

⑶ 赤十字旗を揚げながらの軍事行動

⑷ 軍事的必要性を超える無差別な破壊・殺戮

⑸ 捕虜虐待の禁止

⑹ 対人地雷使用の制限

⑺ 化学生物兵器使用の制限

⑻ 開戦に先立つ宣戦布告義務

 

●国際法は強制ではない?

上記の別記事でも解説しましたが、国際司法裁判所がオランダのハーグに存在するものの、国内裁判所のように強制管轄権がなく国際法に違反するかを判断し国際法の遵守を強制する機関はないのが実情です。

例えば、刑法などの国内法であれば、その内容を強制的に実現する警察力があり法としての強制力があります。これに対し、国際法では、アメリカの軍事力を除き、国際法違反に制裁を加え遵守を強制する機関がありません。しかし、そのような機関を設置することは、かえって国家に対する主権侵害となってしまいかねません。

その意味では、強制力がない国際法の法規範性(実効的な拘束力)には疑問がもたれることもあります。

これは国際法の最大の弱点です。

とはいえ、いつも国際法を堂々と無視していると国際社会でならず者国家との誹りを免れないので、国際的な信用を保つために国際法を遵守する動機はあり、国際法の定めが全く意味をなさないということではありません。そこに国際法の存在意義があるのです。

少し難しかったかもしれませんが、軍事的な争いなんて他の国のことといってられなくなる時代がきています。少しずつ理解を進めて、国際的な問題についても考えていきたいですね。

 

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)

星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき

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