最近、大手掲示板「2ちゃんねる」の投稿は、全面転載禁止となっているようです。
2ちゃんねるの運営側や、スレッドを作成した人、書き込む人にとっては、投稿を転載されること自体を防ぐとともに、アフィリエイトを行うまとめブログの開設者を儲けさせないようにしようという意図があるようです。
2ちゃんねるでは書き込み主の名前には自動で「転載禁止」の文字が入り、「転載が禁止されていますよ」ということをアピールしています。
しかし、転載禁止とされているスレッドや書き込みを転載してしまった場合にはどうなるのでしょうか。解説していきたいと思います。
●スレッドの投稿には著作権が認められる?
スレッドに「転載禁止」と掲げたとしても、投稿した文章に著作権が認められないのであれば法的にはあまり意味がないといえます。
著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいいますので、スレッドの投稿も創作性が認められる文章であれば著作権が認められることになりますが、短文のレスなどは創作性がなく著作権が認められないでしょう。
著作権が認められる文章であれば、スレッドに「転載禁止」と掲げようが掲げまいが、引用を除く無断転載は著作権の侵害に当たります。
●著作権が認められる文章を無断転載してしまったら
著作権が認められる文章を無断転載した場合は著作権侵害に当たりますので、理屈としては、民事上は記事の差止め請求や損害賠償請求を受ける可能性、刑事上は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金を受ける可能性があります。
(なお、2ちゃんねるを含む掲示板には、投稿の著作権は掲示板管理者に譲渡する旨の定めのあることが通常ですが、その場合であっても投稿者は著作者人格権という別の権利に基づく請求が可能です。)
もっとも、2ちゃんねるスレッドの無断転載の場合は、転載禁止の意図の1つにアフィリエイトブログを儲けさせないことがあるので、現実的にはブログ運営会社、個人、アフィリエイト運営会社への通報・通告程度で済む場合がほとんどでしょう(だからといって著作権侵害をしてはいけませんよ)。
以上のように、スレッドに「転載禁止」とあろうがなかろうが著作権の侵害は許されませんので、インターネット上で安易に他人の投稿を無断転載することはやめましょう。
*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)