婚約者や配偶者の浮気は、スマホから発覚するのが最近ではもっとも多い事例です。
そして見つけた方が怒ってスマホを投げつける、あるいは、見つかった方が逆ギレしてスマホを投げつける、それによってスマホが壊れてしまった……という例は数えきれません。
スマホといっても、人気機種となると、10万円近くするものもあり、これを壊されたら、大きな財産的損害になります。果たして、壊された方は、壊した相手方に対して、損害賠償請求できるのでしょうか?
●もちろん請求可能
これは、もちろん損害賠償請求できるというのが結論になります。相手の財産であるスマホを、違法に壊して、財産権を侵害するわけですから、財産的な損害を塡補してもらうというのは、当然のことです。
その時に、「相手が浮気という違法な行為をしていたのを発見したのだから、怒って壊しても問題ない!」などと主張する方が時々おられますが、流石に無理な主張ですね。むしろ、見付けた方はスマホを取り上げて、情報をバックアップするなど証拠固めに走った方が利口です。
●実際に請求する人がいない理由
ただ、このようなスマホを壊すという問題がよくあるにもかかわらず、実際問題として損害賠償請求事件に発展することは、殆どありません。携帯会社で保険に入っているため、保険金でカバーできることがその最大の理由でしょう。
スマホに残っている色んな履歴は、例えその内容が真実でなくても、誤解を受けやすいものです。万が一に備え、保険に入ることをオススメします。
*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)