学校で「親の名前を検索してみよう」という授業があるそうです。
1年半ほど前にも話題になりましたが、ここ数日また話題になっているようです。ネット上では、これを【悲報】として報じています。
プライバシーを侵害されてしまうかもしれないものであり、検索結果の内容などによってはイジメにつながるかもしれない授業といえますが、問題はないのでしょうか。
■「検索方法」を教えることに問題はない
検索結果から、子供に知らせたくなかった情報であったり、他人に知られたくない情報(たとえば犯罪歴等)が見られてしまうかもしれません。あるいは、誹謗中傷に晒されている状況があるとか、同姓同名の他人の情報なども含まれているかもしれません。
このような授業をすることによって、子どもの親が不快に感じることは大いにあり得るところと思います。
しかし、今やインターネットは事実上誰でも使うことができるツールであり、検索エンジンも無料で自由に利用できるものです。
そのため、インターネットや検索エンジンの使い方を教える一環で、親の名前を検索するという授業があっても、教育のための合理的裁量を超えるとは、なかなか考えられないのではないかと思います。
つまり、一般的に違法かというと、なかなか難しいという印象です。
もちろん、授業の進め方にもよって、たとえば親の犯罪報道があった場合に、それを吊し上げるようなケースでは、合理的範囲を超えているとして違法になるかもしれません。
■配慮を欠いているとは思う
ただ、このような授業が妥当かどうかというと、個人的には、【悲報】とつけて記事をまとめている方々と同様、疑問があります。
子どもはセンセーショナルな話題に飛びつく可能性が高いと思われ、たとえば同姓同名の他人の犯罪報道があったとしても、「犯罪者の子ども」などといったいじめにつながってしまう可能性があると思います。
インターネットに関する教育をするのであれば、それが周囲にどのような影響を与えるかを検証してから行う必要があるのではないでしょうか。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)