先日、「虫コナーズ」や「虫よけバリア」などの空間用虫よけ剤の表示に根拠がなく、景品表示法違反に当たるとして、消費者庁が販売4社に対して再犯防止策を講じることなどを命じる措置命令を出す方針であることが明らかとなりました。
つまり、消費者は、今まで、誇大に効果を謳った表示を信じて、効果が薄い商品を買わされたこととなります。買った人の中には、購入代金を返してほしいと思っている人もいることでしょう。
そこで、今回は、今回のような誇大な広告を信じて商品を購入した場合に、返金を受けられるかどうかについて考えていくことにします。
■虫コナーズなどの「景品表示法違反」「措置命令」とは?
今回、空間用虫よけ剤の販売4社は、景品表示法違反のうち「優良誤認」に該当するとして、処分対象となりました。「優良誤認」とは、わかりやすく言うと、実際よりもその商品が著しく優良である(効果がある)ことを商品に表示したり、あるいは、実際はそうでないにもかかわらず競合他社の別の商品よりもその会社の商品が著しく優良であることを表示する場合を指します。
消費者の判断をいたずらに誤らせて商品を購入させる点で不公正であるため、規制対象となっているのです。
優良誤認に該当するのは、販売会社が、実際には効果が低いことを知っていながら、先に述べたような表示をした場合に限られません。販売会社が、誤って上記のような表示をした場合も該当します。
そして、措置命令とは、景品表示法違反行為が見つかった業者に対して消費者庁が行う命令で、具体的には、一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策を講じること、二度と違反表示をしないことをを命じるものです。
■返金を受けることはできるか。
今回のようなケースでは、販売業者が効果がないことを知りながらあえて誇大な表示をした場合でもそうでない場合でも、消費者が返金を求めた場合には、返金をしなければならないでしょう。
効果がないことを知っていたケースでは、民法上の詐欺に該当する可能性も否定できません。誤って表示をしたケースでも、「不法行為」や「債務不履行」(契約違反)に該当するとも考えられるため、購入代金を返す必要が生じると思われます。
このようなケースでは、販売会社が、自主的に返金を行うケースもあります。
購入された方のうち、返金を希望する方は、今後の報道や販売会社のホームページなどをチェックしておくとよいのではないでしょうか。お客様窓口などに問い合わせする方法もありますが、正式に会社の方針が決まらないうちは、回答を得られないと思われますので、ご注意ください。
*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)