現在19歳の「つまようじ少年」 に少年法は適用されないかもしれない?

万引きをしたり、商品につまようじを入れる様子を撮影してネット上に公開した少年が偽計業務妨害容疑で逮捕されたことが話題になりました。

少年は「少年法改正のためにやった」などと話しているようですが、そもそも少年法とはどのようなものなのでしょうか。

また、少年は現在19歳で、今後裁判などを行って行く中で20歳になる可能性が高いとみられます。ネット上には「20歳になったら少年法は適用されるの?」などの疑問も散見されます。

このように19歳の少年が裁判中に20歳となった場合は少年法が適用されるのかなどについて解説していきます。

少年犯罪■少年法の基礎

少年法は、20歳未満の少年で犯罪行為をした者、14歳未満で刑罰法令に違反した者などに適用されることになっています。

後者はややわかりにくい表現ですが、「犯罪行為」とは、(1)犯罪の構成要件に該当し、(2)違法で(正当防衛事案等でないこと)、かつ、(3)14歳以上で責任能力があることが必要ですので、たとえ刑法に触れる行為をしても、14歳未満は(3)の責任能力がないために、「犯罪行為」とはならず、「刑罰法令に違反した者」と呼ばれます。

少年法は、責任能力がないために犯罪は成立しない14歳未満で刑罰法令に違反した者についても、適用されます。

少年法が適用されると、捜査段階から、勾留の制限や、警察署ではなく少年鑑別所への収容、家庭裁判所調査官による調査・指導、保護者との面接等が行われます。

これらは、最終的に刑罰によって更生させることを目的とする成人の刑事事件にはない手続きであり、自分の行為の問題点を反省し更生できる柔軟さ(これを可塑性と呼びます。)をもつとされる少年に対し、ただ単に処分をするだけでなく、関係者が協力してできるだけ再犯を防ぐのが目的です。

少年法では、犯罪時18歳未満の者は死刑が無期刑に変更され、無期刑を科すべきは10年以上15年以下の懲役に変更されることも定められています。

この少年法の規定が、少年には死刑が科されない根拠となっています。

 

■19歳で犯罪をして裁判時20歳になった場合

行為時に19歳ですから、少年法が適用され、捜査段階から家庭裁判所の審判までは、少年法に従った手続で進められます。

しかし、少年法では、最後の審判のときに20歳以上になっている場合には、家裁は検察官に事件を送致し、成人と同じ刑事手続に戻されることになっています。

したがって、事件は家裁の手を離れて検察官に送られ、成人と同じ手続で審理されることになります。

ここで注意しなければならないのは、審判のときに20歳以上の場合に家裁は検察官に事件を送致しますが、犯罪時18歳未満の者は死刑が回避される規定まで適用除外となるわけではありません。

つまり、検察官送致により、通常の刑事裁判として審理されることになっても、判決で刑罰を科すときには、少年法の規定(犯罪時18歳未満者の死刑回避等)の制限が残ります。

審判時に20歳に達しても少年法の規定自体が適用されなくなるわけではありません。

 

■審判時に20歳になるのが明らかでも少年法が適用される理由

行為時に20歳直前の場合、審判で検察官送致され、通常の刑事手続に戻されることはいわば確実ともいえます。

それでも、少年法を適用するのは、最終的に通常の刑事手続に戻されても、捜査段階から審判まで家庭裁判所調査官等による更生への指導・関与を行えるからです。

 

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)

星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき 弁護士

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1‐21‐8 弁護士ビル303

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