偽ブランド品の「購入者」が重罪に問われることもある!

偽ブランド品をインターネットで購入したり、外国で購入して、日本に持ち帰ったりということは、今では難しいことではありません。

しかし、偽ブランド品とは、いいかえれば商標権等の知的財産権を侵害する商品ですから、それらとの接し方には注意が必要です。

安かった、面白かったという理由で偽物を購入して持ち帰ると、想像よりも重い罪に問われてしまうかもしれません。

ブランドバック女性

●かなり重い罪になる

偽ブランド品とは、真正なブランドの価値に便乗した商品であり、商標権を侵害し得る商品です。

商標法は、商標権を侵害した者について、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその併科等を定めています。

また、関税法は、商標権を侵害する貨物を輸入した者について、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその併科を定めています。

 

●個人的に購入しても許されない場合がある

これらの罰則は、個人的に商品を購入する場合にも適用されるのでしょうか。この点については、商標法と関税法で、少し対応が異なっています。

 

・商標法の場合

商標法は、商標権を侵害する偽ブランド品について、それらを業として使用することを捉えて、罰則を定めています。つまり、個人的に使用する場合などは、除外されていると考えられます。

購入した数量が少なかったり、輸入が1回だけであったり断続的であったりする場合は、個人的な使用と認められるでしょう。

 

・関税法の場合

関税法は、商標権を侵害する物品の輸入をすべて禁じています。

関税法では、輸入の目的による適用を限定していないので、外国で面白半分に買ってしまった物や、偽ブランド品だと気づかないで購入して持ち帰った物も輸入することができません。

罰則が適用されるためには、当該商品が商標権を侵害していることを知っていること(故意)必要がありますので、偽ブランド品だと知らなかった場合には、罰則は適用できません。

しかし、偽ブランド品だと知っていた場合には、たとえ転売などを目的としていなくとも、形式的には先の罰則の適用が可能です。

 

●偽ブランド品には気軽な気持ちで近づかないこと

実際に偽ブランド品を輸入してしまった場合には、没収等が行われます。

しかし、関税法は、商標権を侵害する物品の輸入について、その未遂や予備についても刑罰を定めており、仮に没収等されたとしても、形式的には犯罪が成立していることがあります。法律上の建て付けとしては、麻薬等禁制品の輸入と同じ様な扱いをされているのです。

このように、偽ブランド品を輸入することについて、法はとても厳しい対応をしています。

偽ブランド品を個人で購入する人は、面白半分や安かったからという気軽な理由で買うことも多いでしょう。しかし、このような重い刑罰により処罰される可能性のある犯罪行為であるということは、十分に理解した方がよいでしょう。

 

*著者:弁護士 荻原邦夫(りのは綜合法律事務所。刑事事件を主に取り扱っています。お客様に落ち着いていただき、理解していただけるよう対応します。)

荻原邦夫
荻原 邦夫

荻原法律事務所

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