12月に入り、イルミネーションが輝き、クリスマスが近づいてきたことを感じさせてくれます。
クリスマス当日にはトナカイを先頭に、ソリに乗ったサンタクロースが街中の子ども達にプレゼントを配ってまわります。雪の降るに夜に鈴の音を響かせながら……とロマンチックなお話ですが、弁護士としては見過ごす訳にはいきません。
なぜなら、サンタクロースの行為は様々な違法行為をしている気がするからです。
そこで、今回は、夢も希望もありませんが、一般的に言われている「サンタクロース」が犯している犯罪行為は何か?どのような罪なのかを紹介します。
■ソリで空を飛ぶ
航空法により原則として飛行計画の承認が必要です。
航空法97条は、航空交通管制圏、航空交通情報圏の空港等から出発し、または航空管制圏等を飛行しようとするときは、国土交通大臣から飛行計画の承認を受けなければならないことを定めています。
自家用・事業用は問いません。
なお、そもそもトナカイは航空法の規制対象である「航空機」に当たらないのではないかという疑問もあります。
航空法では、「航空機」を、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、……飛行船その他政令で定める航空の用に供することができる機器、としていますので、航空機に含まれる可能性はあるでしょう。
■煙突から侵入
定番の侵入方法ですが、皆様の予想どおり、無断で入る場合は住居侵入罪となるおそれがあります。
しかし、世間や少なくともその地域で、サンタクロース(あるいはサンタクロース役の人)が煙突から入ってプレゼントを置いていくことが一般的な慣習となっていたり、むしろ歓迎され、その家の管理者(通常は居住者である親)の黙示の承諾や招待があれば、住居侵入罪とはなりません。
■外国から勝手に飛んで入国
入管法違反です。
場合によっては、領空侵犯とされて自衛隊機がスクランブル発進することもあるかもしれません。
サンタクロースは見つかり次第、入管法違反の刑事手続と、行政手続である強制退去措置を採られる憂き目に遭います。
■トナカイで道路を走行
自転車と同じようにルールを守れば、通行することは可能です。
馬や牛、トナカイ、像といった動物に乗って通行する場合、トナカイ等の動物は道交法上の軽車両となり、自転車と同じ扱いとなります。トナカイによって引かれるそり(リヤカー)も自転車と同じ軽車両扱いです。
自転車と同じということは、基本的に通行させることは適法です。
ただし、各都道府県によって規制内容が若干異なりますが、例えば、京都府道路交通規則では、「牛、馬、めん羊等の家畜を道路に放し、または交通の妨害となるような方法でつないでおくこと」などは禁止されています。
ちなみにトナカイから下りて引いている場合は歩行者として扱われます。
■勝手にプレゼントを置いていく行為
欲しいプレゼントならいいですが、欲しくもないものを置いていかれ、しかも、後日代金を請求されるような場合は、特定商取引法での送り付け商法(ネガティブオプション)に該当する可能性があります。
この場合は、承諾しない限り、売買契約は成立せず、送付されてから2週間経過してもサンタが引き取りに来ない場合は、処分できます。
サンタが無償でプレゼントを置いていく分には問題ありません。
■朝起きたら欲しかったプレゼントと違っていた
もちろん文句はいえません。心遣いに感謝しましょう。
■小学生くらいになってサンタは演出だったと親に告白された
サンタの夢は壊されましたが、大人になってもっと大きな夢を自分で追いかけましょう。
慰謝料等は請求できません。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)