美容師がホットペッパーの連絡先を利用して「ナンパ」…違法性は?

美容師が美容情報誌の「ホットペッパー」に記載された顧客情報を利用して、ナンパをしたということがネット上に公開され話題となっています。

男性美容師が女性客の連絡先を聞こうとしたら断られたため、美容院側で見ることの出来る顧客情報から電話番号を利用してメッセージを送ったということのようです。

客からしてみれば、連絡先を断ったにもかかわらず、勝手に美容情報誌に登録した個人情報を利用されるという、社会通念上問題な行為ですが、法的に見るとどうでしょうか。検証してみます。

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■個人情報保護法違反になる?

電話番号のような個人情報が勝手に利用されているので、個人情報保護法違反になる!と考える人も少なくないのではないかと思います。

しかし、個人情報保護法は個人情報取扱事業者に対して、個人情報の取扱いに関して種々の定めを置いていますが、個人情報取扱事業者にあたるのは、保有する個人情報の数が5000件を超える必要があります。

美容室の規模が分かりませんが、まずそもそもこれに当たらない可能性があります。

また、仮に当たるとしても、個人情報保護法違反は事業者に対する規制をしているので、勝手に利用した人物の責任を問うものでもありません。

 

■罪に問うのは難しいものの、民事上の責任は発生

個人情報を勝手に利用していることを罪に問うことは難しいのが通常です。

大量の個人情報を抜き出して利用処分したような場合には、不正競争防止法違反となる可能性はありますが(ベネッセ事件などはそのように構成されています)、少なくとも数件程度を利用したという程度では無理でしょう。

しかし、個人情報を勝手に利用された側としては、不快に感じることは間違いないでしょう。そこで、勝手に利用した人物に対して、不法行為に基づく損害賠償請求をする余地があります。

また、情報管理が甘かったといえる場合には、その人物を雇っている人・会社などにも責任を追及する余地もあると思います。

 

■勤務先から懲戒の可能性も

さらに、顧客情報を個人的に利用した場合、それが明示的に就業規則などで禁じられており、かつ、懲戒の規定があれば、勤務先から懲戒処分を受ける可能性もあります。

このように常識的に考えて問題といえる行動は慎むべきでしょう。

 

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

*画像はネット上に掲載されたやり取りに当サイトがモザイクをかけたもの

清水 陽平 しみずようへい

法律事務所アルシエン

東京都千代田区霞ヶ関3-6-15 霞ヶ関MHタワーズ2F

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