衝撃写真や面白い話などを集めた書籍やテレビ番組などに、無断でツイートや写真、動画が使われることがしばしばあるようです。
全てに著作権が発生するわけではありませんが、衝撃写真や面白い話であれば、独創性があるといえるため著作権が発生している可能性が高いといえます。
著作権が発生しているものは、著作権者以外が勝手に利用することができないのが原則です。
しかし、「引用」(著作権法32条)に当たる場合や、「時事の事件の報道のための利用」(著作権法41条)の場合は、著作権者に断らずとも使用することができます。この点については、「ツイートした写真をテレビ局が勝手に利用するのは「かなりグレー」?」を参照ください。
これら利用できる場合に当たらないのではな場合は、著作権侵害となる可能性がありますが、このような無断使用を訴えたいという場合、どのような対応をとれば良いのかを紹介します。
■著作権侵害を根拠としてできる請求の種類
著作権侵害があれば、以下のような手段を講じることができます。
・差止請求(削除請求)
・損害賠償請求
・刑事告訴
そこで、何を求めたいのかということによりますが、まずは無断使用をしている主体に、「著作権侵害なので○○してほしい」ということを連絡することから始めることになります(○○の部分には「削除」「賠償」などが入ることになるでしょう)。
このような説明をする際に弁護士に依頼をする必要は必ずしもありません。自分がその著作権を有しているということを説明し、許諾なくして利用できる場合に当たらないということを説明できればよいのです。
インターネット上にあるものは勝手に使用しても問題ないと誤解している方も少なくないため、それは間違っているということを説明することも有効ではないかと思います。
なお、書籍によって侵害されている場合、直接の侵害者は著者ですが、著者の直接の連絡先は分からないことも多いため、まずは出版社に連絡をすればよいでしょう。出版社から著者に連絡がされることになると思います。
連絡方法に決まりはありませんが、確実を期し、また確固たる意思を示すためには、内容証明郵便を利用するのも手でしょう。
■悪質な対応には刑事告訴も検討
開き直ってきたり全く無視するような態度に出てきた場合には、弁護士に相談してみるべきでしょう。そして、そのような場合に初めて刑事告訴を検討してください。
もちろん刑事告訴はいきなりすることもできますが、警察はインターネット上のものに関してなかなか取り合ってくれない傾向があり、一定以上の悪質性がないと動いてくれません。そのため、悪質性があるという証拠を作ってから相談をするというのもポイントといえます。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)