ツイートした写真をテレビ局が勝手に利用するのは「かなりグレー」?

Twitterユーザーがツイートした写真をテレビ局が勝手に利用したということが話題になっています。

最近ではTwitterに掲載された事件直後の写真などに対して、テレビ局の人間が「○○のスタッフですが、写真を番組内で使用してもよいでしょうか?」などと、許可を取るということが頻繁に行われています。

このように基本的には許可をとっているようですが、中には許可をとらなかったり、返信が無い場合は使用させて頂きますなどのような形でテレビに利用することもあるようです。

今回、勝手に使われたのは長野県での地震直後の様子を撮影したもののようですが、このような利用は許されるのかどうか、Twitterの利用規約や法律と照らし合わせて検証してみます。

Twitter

■写真の利用には原則として著作権者の許諾が必要

写真を撮影すると、その撮影者には何かの申請などをする必要はなく、当然に著作権が発生します(厳密に言えば、著作権が発生しない写真もあると思いますが。)。

著作権者はその写真を基本的にどのようにでも利用することができ、写真を添付してツイートをすることも当然できます。

しかし、インターネット上に投稿されたからといって、その写真を誰でも勝手に利用することは原則としてはできません。利用するためには、原則として著作権者の許諾を得ることが必要になります。

なお、Twitterの利用規約によると著作権はツイートをした人に留保されることになっているようなので、許可を取るべき著作権者はTwitter社ではなくツイートをした人ということになります。

 

■「時事の事件の報道のための利用」に当たる?

著作権法は、一定の場合に著作権者の許諾を得なくても、他人の著作物を利用することができる場合を定めています。

今回の件はテレビ局が報道のために使用したものなので、「時事の事件の報道のための利用」(著作権法41条)に当たらないのでしょうか?この条文は、「事件を構成」する著作物は、「報道の目的上正当な範囲内において」利用できるとしています。

地震は「事件」といえるでしょうし、その被害の様子は「事件」を「構成」していると思います。「報道の目的上正当な範囲内において」といえるかですが、これは報道の意図・趣旨から判断されることになりますが、地震の被害を端的に伝える一つの材料であるといえるので、これも満たすように思われます。

ただ、出所を表示する慣行があるときは、合理的と認められる方法・程度で明示しなければならないとされています(著作権法48条1項3号)。テレビ局の慣行が何かというのは一概には分かりませんが、ここで注意する必要があるのはTwitterのガイドラインです。

Twitterには「ブロードキャストでのツイート利用に関するガイドライン」が定められています。
これによると、以下を満たす必要があります。

・ツイートが番組内に表示されている間は、ツイートのすぐそばにTwitter bird (http://www.twitter.com/about/logos)を表示させる。
・各ツイートにユーザーの名前と、ユーザー名(@ユーザー名)を表示する。
・ツイートの全文を使用する。改変は技術的な問題部分のみとする(例:リンクを外す)
・Twitter birdのアイコンのサイズは内容に合わせた適切なサイズであること。

逆に、ユーザーの正体を削除したり、ツイートを匿名のまま掲載することは、してはいけないこととして挙げられています。

今回のテレビ局の使用では、写真だけが使用され、ユーザー名などは特に記載されていないようなので、このガイドラインを満たすものではないようです。
そのため、著作家法41条の要件を満たすのか若干疑義があります。

 

■「引用」に当たる?

適法な「引用」(著作権法32条)であれば、著作権者の許可は不要ですが、引用は一般的には以下の要件を満たす必要があります。

(1)公表された著作物であること

(2)公正な慣行に合致すること
・引用の必要性があること
・どの著作から引用されたものなのか明示されていること
・著作者の意に反する改変をしていないこと
・その分野の慣行に従っていること

(3)目的が正当な範囲にあること
・引用された部分が明確であること
・引用する側が「主」で、引用される側が「従」といえる関係にあること

このように、引用の要件は「時事の事件の報道のための利用」よりも厳しいです。そして、今回の件ではアカウントが明示されているわけではないことから、どの著作から引用されたものなのか明示されていることという要件を満たさず、また慣行の点で疑義がある以上、引用の要件も満たさない可能性もあると思います。

このように、「時事の事件の報道のための利用」として認められる余地がありますが、今回の用い方は本当に許される方法だったのかというと微妙な点があるのではないでしょうか。

 

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

*画像: PiXXart / Shutterstock.com

清水 陽平 しみずようへい

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