「きょうは会社休みます。」 実際、何日休んだらクビになる?

3日も無断欠勤してしまった、あと何日休んだらクビになるんだろう……

「きょうは会社休みます。」 とあらかじめ会社に連絡をすれば良いものの、無断で会社を休むのは、最もやってはいけない行為のひとつかもしれません。それも1日だけではなく連日続いたら会社としては見過ごすわけにもいかないでしょう。場合によっては「クビ」もあり得るかもしれません。

それでは実際、何日休み続けたら会社をクビになると思いますか?過去の例も踏まえて紹介します。

会社クビ解雇

●まず、会社と会社員の関係についておさらい

会社員になるということは、その会社と労働契約を締結すると言うことです。契約ですから、権利を得ると同時に義務も負担します。つまり、権利としては、「給料をもらえる」と言うことですし、義務としては、「その会社の指示に従って働く」ということになります。

出勤日に出勤して働くことは会社員の義務です。その義務を果たせないと給料をもらえず、最悪の場合は労働契約が解除(解雇、クビ)されるということになります。しかし、労働契約は特殊な契約で、会社員(労働者)を保護しています。会社(使用者)の解雇権の行使は「解雇権濫用の法理」というものによって制約されています。

具体的には、会社ごとの就業規則に定められますが、就業規則が上記の労基法に違反している場合は、労基法が適用されます。つまり、会社の勝手なルールで社員をクビにしようとしても、「解雇権濫用の法理」によって守られるケースがあるということになります。

 

●アナウンサーが2度の遅刻でクビになった例

最高裁の判例に、アナウンサーが二度も寝過ごしてニュースの放送に遅刻したために職務懈怠として解雇された事案について、解雇権濫用の法理を適用し、また濫用の判断基準を明らかにしたものがあります(高知放送事件=最高裁昭和52年1月31日判決・労働判例268号)。

この判例では、アナウンサーの行為について解雇事由に該当するとしながらも、「解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときは、当該解雇の意思表示は解雇権の濫用として無効になる」としています。

そして、この判断基準を参考にすれば、遅刻や欠勤を理由に解雇する場合についても、その理由・原因とか、程度いかん、本人の反省の有無、平素の勤務状況、業務に与えた影響、同種事案における他の処分との均衡、従来の取扱いなど諸般の事情を総合して、解雇が過酷に失することがないかという観点から解雇の有効性を判断することになります(人事解決ドットコムからの引用:http://www.jinjikaiketsu.com/blog/navi06/2010/11/14-01.html )。

判例については、上記の人事解決ドットコムに詳しく紹介されていますので、参照して下さい。

 

●実際は何日休んだらクビになる?

傾向としては、2週間以上無断欠勤すると解雇が有効になるような場合が多いようです。しかし、それ以下でも、悪質な事案だと解雇が有効と判断されたりします。

また、欠勤すると連絡しても、欠勤理由が虚偽の場合には解雇が有効と判断されます。

要は、社会人としての常識に従った行動を取っていれば仮に欠勤しても解雇されないということです。すこしサボるくらいなら解雇されることはありませんが、あまりにも非常識な欠勤をすると解雇されても文句を言えないということです。

ちなみに、解雇されないとしても、サボっていると出世が出来ないのは言わなくても分かりますね。

 

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

星 正秀 ほしまさひで

星法律事務所

東京都中央区銀座2−8−5石川ビル8階

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