「FC2ブログ」や「FC2動画」などで知られる「FC2, INC.」の実質的な運営会社に家宅捜索が入ったという報道がされています。
FC2は米国ネバダ州に本社を置く法人で、インターネット上でサービスを提供しています。
今回、このFC2を実質的に運営しているとされる会社にはじめて家宅捜索が入ったということですが、前々からわいせつな動画などが配信されている事は明らかな事実でした。
それでは、なぜ今まで家宅捜索は行われなかったのでしょうか。それには最近、わいせつ動画を配信し、逮捕された事件が関係しているようです。
●実はかなり以前から知られていた
FC2は米国法人であるということはFC2のページ上にも表示されています。しかし、もっぱら日本でしかサービス展開をしていないことや、法人の創業者などが日本人であるということも知られており、実質的な運営をしているのは日本人だということは以前から言われていました。
さらに知っている人は、今回家宅捜索を受けた会社が実質的な運営会社だということも知っていました。
同社では、FC2の日本代理店であるという表示をしていたり、FC2の業務委託を受けたシステム開発をしているという表示をしていたからです。
私も同社に対して、数年前、FC2関する裁判を起こしたことがあります。ただ、FC2を実質的に運営してるということが証拠上認められないということで、取下げを求められたという経緯があります。
外形的に見える「状況証拠」だけでは“足りない”と判断されたということでしょう。
●今回は何が決め手だったのか
報道によると、ライブチャットでわいせつ動画を配信していたという事件をきっかけに、「会員が支払う登録料の流れや収益の実態などから、この会社が違法な動画の配信に関わっている疑いが強まった」ということが家宅捜索の理由であるとされています。
簡単に言えば、
・わいせつ動画を配信していた人が、配信をすることにより収益を上げ、その収益の一部がFC2の実質的な運営会社にも分配されていた。
・そして、FC2の実質的な運営会社は、その収益をもたらす動画が、わいせつ動画のライブ配信という違法な行為によるものであることを認識し、容認していた。
といえる可能性が十分あると判断したということだと思います。
お金の流れを追える捜査機関ならではの捜査ができたことが、今回の家宅捜索に繋がった可能性が高いと言えます。
●なぜ今なのか
なぜこのタイミングで家宅捜索が行われたのかということは分かりませんが、近時、FC2にはわいせつ動画や著作権法に違反する動画配信が相次いでいるということのようなので、これを抑止するために警鐘を鳴らす必要があると、警察が考えたのかもしれません。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
*画像はFC2のトップページのスクリーンショット