神戸市で女児が遺体で発見された事件の容疑者が逮捕されましたが、バラバラの状態で発見されるという凄惨な結末が波紋を広げています。
犯人は今後、殺人罪などに問われることになると思われますが、「バラバラ殺人」という部分がどのような影響を与えるのでしょうか。
裁判官が殺人罪における罪を定めるときに参考にする事情を見てみましょう。これらは、裁判員裁判でも同じ事情が考慮されます。
●殺人罪の際に考慮される事情
1…犯罪の性質
2…犯行の動機
3…犯行態様、特に殺害方法の執拗性、残虐性
4…結果の重大性、特に殺害された被害者の数
5…遺族の被害感情
6…社会的影響
7…犯人の年齢
8…前科
9…犯行後の情状
●単に人を殺す場合と刑の重さは変わる
単に人を殺す場合と、殺した後に証拠隠滅などの目的で死体をばらばらにする場合の刑の重さは変わってきます。
死体をばらばらにすることは、3の犯行態様に関連します。通常の殺人よりも残虐性が高くなるので、当然、刑も重くなります。
また、5の遺族の被害感情も重くなります。さらに、6の社会に与える影響も通常の殺人よりも強くなります。そのようなことから、バラバラ殺人の刑は重たくなります。
今回の少女殺人事件では、犯行の動機や犯行後の情状などが不明のままです。また、猥褻目的の有無なども不明のままです。今後の捜査の進展によって明らかになると思われますが、そのような事情が加味され、最終的な刑が決まります。
*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)