家出少女を家に泊めただけで逮捕…なぜ?

先日、インターネットで知り合った女子生徒を家に泊めた男性が未成年者誘拐の疑いで逮捕されました。

女子生徒がインターネットに「誰か泊めてくれない」と呼びかけそれに対して「着替えを買ってあげる。泊まっていくか」などと言って自宅に連れ込んだとのことです。

誘拐というと無理やり連れ去るイメージを持つ方が多いと思います。今回のように合意の上で家に泊めるという行為が誘拐にあたるというのは不思議だと思うかもしれません。なぜ逮捕となったのか、今回は、この「未成年者誘拐」について解説したいと思います。

夜道

■未成年者誘拐罪

未成年者誘拐罪は、未成年者を誘拐した場合に成立する犯罪です(刑法224条)。

未成年者誘拐罪が刑罰を科してまで守ろうとする利益は、誘拐された者の自由であるとか、親の監護権・親権であるとか、人の本来的な生活場所における安全と行動の自由であるとか言われています。

誘拐とは、欺く行為や誘惑する行為を手段として、他人をその本来的な生活環境から違法に引き離し、自分やそれ以外の人の事実上の支配下におくことをいいます。

暴行・脅迫を手段として無理矢理連れ去った場合は「略取」で、未成年者を略取した場合は、未成年者略取罪が成立します。

本件で男性は、未成年者である女子生徒に対し、「着替えを買ってあげる。泊まっていくか」などと誘惑することによって、女子生徒を本来の生活環境から違法に引き離していると言えますので、未成年者を誘拐したと評価できます。

未成年者誘拐罪が成立する場合、誘拐した者は、3ヶ月以上5年以下の懲役という刑罰を科せられる可能性があります。

 

■男性が親切心で泊めた場合

ネット上では、 「仮に親切心だとしたら可哀想」という声も一部でありました。

しかし、親切心で泊めたとしても、親の監護権・親権を侵害しているわけですし、人の本来的な生活場所における安全と行動の自由も侵害していると言えます。

また、被害者である未成年者は、判断能力が必ずしも十分でないわけですから、たとえ未成年者が同意していたとしても、未成年者の自由を国が後見的に守ってやるべきであると考えられます。

その女子生徒が親から暴力を受けていることが明らかで元々親しい人が一時的に匿うような場合は別かもしれませんが、原則として未成年者誘拐罪が成立します。

インターネットの普及で犯罪の形も多様化しています。

若い人が、お金欲しさに、犯罪になるかどうかよくわからないうちに犯罪に手を染めている場合もあります。

自分の言動によって、他人に迷惑を掛けないか、注意する必要があると思います。

 

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

 

冨本和男
冨本 和男 とみもとかずお

法律事務所あすか

東京都千代田区霞が関3‐3‐1 尚友会館4階

弁護士保険「Mikata」

コメント

コメント