黒子のバスケ事件の犯人が損害賠償請求されない理由

黒子のバスケ脅迫事件で罪に問われていた男性に懲役4年6カ月の判決が出ました。

主な事件だけでも、幕張メッセで行われたイベントの妨害、東京ビッグサイトで行われる予定だったイベントの中止、毒入りの商品を関係各所に送りつけコンビニから商品の回収・発売の禁止をさせるなど多岐にわたります。

被告人のした行為は、刑事事件としては、威力業務妨害罪とか脅迫罪に該当します。

威力業務妨害罪の法定刑は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、脅迫罪だと2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。刑事責任としては、刑務所に行くか罰金を支払うことになります。

 

●損害は億単位?だけど…

民事責任としては、イベントを中止させたり、販売を中止させたりしたことによって、予想された売り上げを上げることができなかった損害を賠償する責任を負います。

どの程度の売り上げが予想されていたかは分かりませんが、これだけのイベントを中止させたのですから億単位になると思います。また、お菓子などの売り上げ予想も不明ですが、これまた億単位になると思います。

ところで、私がウェブで調べた限りですが、被告人に上記の損害賠償を請求する企業はないようです。

仮に企業が被告人に対し民事訴訟を提起すれば、何億円を支払えという判決がおります。しかし、判決があっても、被告人に資産がなければ、実際の回収は不可能です。そのため、訴訟を提起しないのだと思われます。

 

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

星 正秀 ほしまさひで

星法律事務所

東京都中央区銀座2−8−5石川ビル8階

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