今後ベネッセはどのような法的責任を負う可能性があるのか

ベネッセコーポレーションの情報漏洩問題の真相が徐々に解明されてきました。

情報漏洩を行ったのは、子会社の外部業者の派遣社員だと報道されています。漏洩された情報を使っていた会社や名簿業者も次々に明るみに出て批判の声があがっています。

そして、ベネッセコーポレーションに対しても批判の声があがる中、果たして子会社の外部業者の派遣社員が行ったことにまで、ベネッセコーポレーションは法的責任を負う必要があるのでしょうか。

勉強
●人を使っている者はその人の行動について責任を負う必要がある

本件では、子会社の外部業者の派遣社員という内部の人間とも外部の人間とも一概には言えない人が漏洩をしたようですが、仮に外部の人間だとしても、会社が責任を負うべきと考えられています。

この背景には「利益が存するところには損失も帰属するべきである」という報償責任という考え方があります。

要は、人を使うことで利益を上げていたり、自分の時間を作ることができるようになっている場合には、そのようなメリットだけではなく、その人が起こしてしまった不祥事についても責任を負いなさいということです。

ただし、相当といえる監督や注意を尽くしたときなどは、会社が責任を免れることができるケースもあります。

本件では、このような監督や注意を尽くしていたといえるのかがポイントになりそうです。

 

●ベネッセが負う責任は?

会社が漏洩について負う責任は、漏洩されてしまった人が受けた不安などを慰謝する責任、平たく言えば損害賠償責任になります。

たとえば、宇治市住民基本台帳データ漏洩事件(大阪高裁平成13年12月 25日判決)においては、15,000円の慰謝料が認められています。この事件で流出したのは、個人連番の住民番号、住所、氏名、性別、生年月日、転入日、転出先、世帯主名、世帯主との続柄等の情報です。

また、大学が警察に学籍番号、住所、氏名、電話番号などが記載されている名簿を提供したことが問題となった早稲田大学名簿提供事件(最高裁第2小法廷平成15年9月12日判決)では、10,000円の慰謝料が認められています。

他に、TBC事件では、身体に関する情報が流出したということが考慮され、通常よりも若干高い、1件あたり30,000円の慰謝料が認められた事例があります。

今回は、今のところ確認されているのは、氏名、住所、電話番語、子どもの生年月日・性別といった比較的単純な情報であるため、1件あたりの慰謝料額は10,000円前後程度になるのではないかと思われます。

 

●慰謝料を請求するには「請求」する必要がある

このように慰謝料が認められる余地がありますが、注意しなければいけない点があります。

会社側は現時点では賠償の必要がないと言っているようですので、慰謝料を得たい(少なくとも会社の責任を追及したい)と思う場合には、自分から声を上げていく必要があるということになります。

 

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

清水 陽平 しみずようへい

法律事務所アルシエン

東京都千代田区霞ヶ関3-6-15 霞ヶ関MHタワーズ2F

弁護士保険「Mikata」

コメント

コメント