従業員が「社長うざい」「○○さんマジむかつく」「うちの会社マジブラック」…などの批判をTwitterやfacebookなどでしていた場合、解雇など処分の対象になりえるのかのでしょうか、内定者なら内定取り消しができるのでしょうか。
今回は、こうした問題について説明してみたいと思います。
■解雇の制限
解雇は使用者が一方的に労働者との労働契約を解雇することです。
解雇は労働者に著しい不利益を及ぼしますので、解雇は、客観的合理的な理由がなく、社会通念上相当でない場合、解雇権の濫用であるとして無効となります(労働契約法16条 解雇権濫用法理)。
■客観的合理的な理由について
ここで客観的合理的な理由とは、通常は就業規則に定められた解雇事由に該当する具体的な事実が存在している必要があるということです。
本件でいえば、まず、就業規則に、解雇事由として、例えば
・会社の秩序や風紀を乱す行為ないし言動があったとき
・会社および会社の従業員、または関係取引先を誹謗もしくは中傷し、または虚偽の風説を流布もしくは宣伝し、会社の業務に支障を与えたとき
といった定めがあり、従業員がこうした解雇事由に該当する行為ないし言動を行った場合であることが必要になります。
■社会通念上相当といえるかについて
解雇に客観的合理的な理由があったとしても、解雇が社会的相当性を欠く場合、権利濫用となります。
要するに、従業員が問題行為を起こしたとしても、いきなりの解雇はやりすぎで、最初は注意・自宅謹慎・減給といった軽い処分に留めておくべき場合もあるという話です。
本件で言えば、
ネットで会社に対する誹謗中傷を行った従業員に対し、いきなりの解雇はやりすぎかも知れませんが、何度注意しても止めようとせず、自宅謹慎や減給といった処分をしても止めようとしなかった場合、解雇(内定者で言えば内定取消)が有効ということになるかと思います。
*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)