日立社員による内部情報の不正取得は犯罪なのか

日立社員が国立国会図書館の内部情報を不正に取得し、情報を活用して受注活動が有利に働くように職権を悪用していたというニュースが話題になっています。

日立製作所はこの社員を処分したとのことですが、この行為自体は犯罪なのでしょうか?

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■不正アクセス行為の禁止等に関する法律

不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)という法律があります。

同法は、アクセス制御機能を有するコンピュータに電気通信回線を通じて他人の識別符号を不正に入力してコンピュータを作動させ、利用可能とする行為を不正アクセス行為(同法2条4項1号)として禁止し(同法3条)、処罰の対象としています(同法11条)。

要するに、ID・パスワード等を入力しないと見られない画面に正当な理由もないのに見ると犯罪になってしまうということです。

国立国会図書館内のネットワークシステムは、内部情報まで管理していたわけですから、当然、ID・パスワード等の識別符号の入力が必要といった形でアクセス制御機能を有していたと考えられます。

したがって、日立社員は、正当な理由もなくID・パスワードを入力する等してネットワークシステムを作動させ、管理されていた情報を閲覧可能としたのであれば、不正アクセス行為を行ったと言えます。

不正アクセス行為を行った者は、3年以下の懲役、100万円以下の罰金で処罰されることがあります(同法11条)。

 

■不正競争防止法

また、不正競争防止法という法律もありますが、同法は、不正の利益を得る目的や営業秘密の保有者に損害を加える目的で不正アクセス行為を行って営業秘密を取得した者について、10年以下の懲役、1,000万円以下の罰金で処罰すると規定しています(同法21条1項1号)。

今回、日立社員が取得した情報は、次期ネットワークシステムに関する他社の提案書や参考見積といった内部情報であり、当然秘密として管理され、有用で公に知られていない情報ですので営業秘密に当たります。

したがって、日立社員は、不正の利益を得る目的や国立国会図書館に損害を加える目的があった場合、より重い不正競争防止法違反の罪を負うことになります。

このようにID、パスワード、指紋、虹彩、音声、署名等の識別符号を利用することによってアクセスを制限しているコンピュータに正当な理由もなく他人がアクセスすることは犯罪になります。

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

冨本和男
冨本 和男 とみもとかずお

法律事務所あすか

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